「ワリオランド2 盗まれた財宝」不死身になったワリオ!リアクション芸を駆使し、再び冒険に旅立つ!
初代「ワリオランド」について、あれだけ思う存分語ったからには、
同じく子供時代にハマっていた、こちらの作品も紹介しておかなくてはなるまい。
そんなわけで、”ゲームボーイカラー”にて発売された、
「ワリオランド2 盗まれた財宝」の紹介&感想記事となります。
発売は1998年。
ゲームボーイカラーの”ローンチタイトル”(本体と同日発売の作品)であり、
任天堂において初となる「”カラー画面”による携帯型ゲーム体験」を、
最初に堪能できるゲームの一つでした。
据え置き機での任天堂の主力キャラがマリオならば、携帯機の方はワリオ。
さしずめその役目は、時代を最先端で切り開く「特攻隊長」。
”確たる位置付け”が与えられた事が伺えますね。
(ちなみに、タイトルこそ「ワリオランド”2”」ですが、時代を先取りしすぎた立体画面形式のゲーム機”バーチャルボーイ”にて「アワゾンの秘宝」という作品が先に出ており、
ワリオ主役のゲームとしては、これが三作目にあたります。)
今作の特徴は、章仕立てとなったゲーム進行に合わせて、
まるで”無声映画”のような寸劇によって、ストーリーが展開されていく事。
ゲームを開始すると、なにやらワリオの城に忍び寄る、不吉な影が三つ。
奴らは一体・・・!?
(どこからどう見ても、初代に登場した雑魚の「ヤリクリ」ですね。)
風景に目をやると、食べ物の”ナルト”のような太陽が妙に印象に残るところですが、
それと同時に、ワリオが前回(初代ワリオランド)の冒険の果てに手に入れたのは、
立派な石造りの城だった・・・というのが正史にされた事が伺えます。
個人的には、自分の惑星を手に入れる結末の方が、夢があって好きだったのですが。
それだと続編が作りにくかったんだろうね。仕方が無いね。
ワリオの城にまんまと侵入した、三匹の影のうちの一匹は、
ただの廊下の突き当り 宝物庫に置いてあった全財産を奪って逃走。
初代の最後に拝んだ、巨大なコイン袋六つに比べると、どうにもこじんまりとした蓄えである。
このお城を建てるのにほとんど使ってしまったのだろうか。
また一匹は、巨大な蛇口をひねって水を出し、お城の内部の一部を水浸しに。
なんでそんな物を自分ちに作ったのだ、ワリオよ。どう見てもゲーム的な都合にしか見えないのだが。
それとも、お城の中にプールでも作る気だったのか?
残る一匹は、騒音を立てる生きた目覚まし時計(?)を放り、その場を後にしました。
こっそりと犯行に及んだのだからそのまま立ち去ればいいのに、何故そんな物を置いていくのか。
ワリオが起きないとゲームが始まらないからだろうけども。
ようやくその姿を現す、我らがヒーロー「ワリオ」。
先ほどの目覚まし時計が騒がしく鳴り出すも、平然と熟睡したままです。
そして始まる、第1章・第1話。
今作はこのように、全てのステージにサブタイトルが表示されます。
また、一部のステージはクリア条件が特殊なものもあり、その目的を提示する役割も兼ねています。
ベッドで寝た状態からスタートするも、何かしらボタンを押すと目覚め、
ようやく活動を開始するワリオ。
初代と比較して、最初に目に付く特徴としては、ワリオが
タックルの際に黄金色の闘気を腕に纏って走るようになっており、
移動距離も伸びている他、途中でジャンプしても再び地面に降りて走るようになっているなど、
その体術に磨きがかかっています。
それに加えて、前作では「ブルワリオ」の状態にならないと使えなかった”ヒップドロップ”が、
今作では普通に使えるようになりました。
元々強かったのに、時を経て更に強くなったワリオ。イカスぜ・・・!!
また、↑の画像のように、ステージのあちこちに壊せる壁があり、その先には大量のコインが置かれている・・・といった仕掛けが多いのも、このゲームの特徴です。
全体的にステージの構成が縦方向に広くなっていたり、敵を投げつける事でしか壊せないブロックが新たなギミックとして加わっていたりと、
隅々まで探索し尽くして、コインを集める楽しさが大幅に強化されました。
(でも↑の画像だと、これ自分の家なんだぜ・・・自分ちの壁を自分で壊してるんだぜ・・・)
全てのステージには”お宝部屋”があり、そこに入るとミニゲームが開始。
一瞬だけ表示される八枚のパネルの絵から、あらかじめ提示された絵と同じ物を見極めて当てるというもので、難易度を三段階から選んでコインを支払って挑戦する事になります。
見事正解すれば、宝箱の鍵が開き、お宝をゲットする事が出来ます。
もし失敗しても、コインさえあれば再挑戦が可能な事に加えて、
今作は”どこでもセーブ”が可能な為、お宝部屋の直前でセーブしておき、一番安い難易度の「はやい」でプレイして、間違えたらリセットする・・・という技も通用します。
(しかし、自分ちにあるお宝を再度回収するとは、これいかに。)
また、ステージクリア時にもミニゲームが用意されており、
コイン50枚につき、9枚あるパネルを一枚ずつめくっていき、わかった時点で何の数字かを当てるゲームに挑戦する事ができます。
正解すると、地図の破片(ピース)が一枚手に入り、上記のお宝と合わせてフルコンプリートする事で、ゲームの最後の最後に「ほんとの最終話」が出現します。
(詳しくは後述致します)
さて、そんなこんなでお城の目覚まし時計を止め、巨大蛇口も締め、城内に放たれた巨大ヘビを退治したワリオは、奪われた全財産を取り戻す為に冒険の旅に出掛けます。
こうして始まった、ワリオの通算三度目となる旅。
そんな彼が、今作の目玉要素として、新たに身に付けた体術。
それはリアクション芸。
↑の画像は、敵キャラが放ったショートケーキを食べる事で激太りし、
その状態でしか壊せないブロックを壊して、先へと進んで行くシーン。
他にも、尻を燃やされて猛ダッシュし、いずれ全身に火が回って火ダルマになる。
ぺちゃんこに潰されて、ひらひらと宙を舞う。
ハンマーなどで叩かれて身体がバネになり、勢いよく大ジャンプをする。
・・・などなどのリアクションがあり、大半のリアクションにはその状態でしか進めない箇所が用意されているので、
状況に応じて、それらの変化を駆使してステージを突破していく必要があります。
(酔っ払い状態のみ、ゲップで敵を倒す事はできるものの、単なるバッドステータス扱いだった記憶があります)
また、それら全てのリアクションに専用のBGMが用意されており、
どんな時でもワリオと一心同体になっている気分が味わえます。
更に、リアクション芸を会得した副産物として、今回のワリオは不死身。
何をどうやっても死ぬことはなく、ゲームオーバー自体が存在しません。
それだとゲームにならないのでは?と思う所ですが、ところがどっこい、
これが非常によく考えられていて、しっかりとゲームとして成立しています。
ボス戦においては、特定の「致命的な攻撃」を受けると、なんらかの手段で画面の上部にある出口に送られてしまい、再びボスの所まで戻ってこなくてはいけなくなります。
(もしくは、普通に落とし穴が存在していて、そこに落ちてもアウト)
不死身だからと言って、ボスとのバトルで「負け」が存在しないわけじゃない。
決して油断は許されず、集中した操作が求められます。
(ちなみに、やられた後に戻って来る作業が面倒ならば、どこでもセーブをボス戦直前に使っておき、致命的な攻撃を喰らった瞬間にリセットする事で、時間的なロスを少なくする事もできます。
私はそうしていました。)
印象に残るボス戦としては、都会ステージにて待ち受ける巨大な二足歩行のウサギ「ダンク」との戦いで、
互いに相手の頭を踏んでボール状態にして、バスケットゴールに三回投げ入れた方が勝ちという形式のものがあり、BGMも専用の曲である点も含めて異彩を放っています。
終盤になって楽しげな音楽が流れる場面があるというのは、
初代と共通した「ワリオのゲーム」らしさと言えるでしょう。
このバスケット勝負を制すると、物語は最終章へ。
今回の事件をけしかけた張本人であり、最初の冒険でこらしめた女海賊「キャプテン・シロップ」を追い詰め、彼女と最後の戦いを繰り広げるワリオ。
この戦いでは、途中まではシロップが放ってくる敵キャラを投げ返せば良いだけですが、
爆弾を投げてくるようになってからは、それをキャッチして画面下から順番に伸びてくる火柱に当て、炎上させてシロップに直撃させるという手段によって戦う事になります。
ワリオへの報復を目的としているだけの事はあり、それに相応しい強さを誇るシロップ。
最終決戦感も存分に醸し出しており、初見だと大分手こずった記憶があります。
キャプテン・シロップとの再度の戦いに勝つと、盗まれた財宝を掲げて自分のお城に帰って行くワリオを映しながら、スタッフロールが流れます。
これが「長い冒険の果ての帰路」を思わせるような名曲で、
ゲーム中と変わらずスタスタと早足で帰って行くワリオの様子と合わせて、
なんだか泣きそうな気分になってきます。
先に進む為に何十回と様々なリアクション状態になって、大変な所もあったけど、
なんだかんだで、今回の冒険も楽しかった・・・
そんな感慨深い気分にさせられます。
しかし、今回の冒険は、それだけで終わりではありません。
「リアクション芸」「不死身」「どこでもセーブ」と並ぶ、このゲームの特徴として
ルート分岐が搭載されており、一部のステージに存在する隠しゴールを見つけてクリアする事で新たなステージ群へと進み、異なるストーリーが展開され、
辿り着くエンディングも変化します。
最も印象に残る分岐が、↑の画像の「自分の城」にてラストバトルを繰り広げる事になるルートでしょう。
このルートは、最初のステージである第1章・第1話にて、寝ている状態で始まるワリオを一定時間操作せず、寝たままにしておく事で入る事ができ、
熟睡状態のワリオがそのまま外まで担ぎ出され、お城がキャプテン・シロップに乗っ取られるというストーリーへと変化します。
(条件さえ知っていれば、必要な無操作時間がちょっとだけ長いものの、初回でもこちらのルートへ来ることも可能です。)
最初のステージを、何もせずにただ寝ているだけでクリア出来るゲーム。
それがこの「ワリオランド2」。
そんなゲーム、世界中でこれだけなのではないでしょうか。
さすがワリオ、意味不明な所でオリジナリティを発揮してくれるぜ。
また、個人的に好きなのは、キャプテン・シロップを追いかけているうちに、
二人揃って謎の幽霊屋敷へと迷い込むルート。
ここでは、シロップに代わって屋敷のボス「シロマジン」が
ラスボスとして待ち受ける事になります。
こらしめようと思っていたシロップを、先に捕らえてしまい、
それに対してワリオが「お前には用はねぇ~~!!」と言わんばかりに、
タックルで立ち向かうというシチュエーションで、
本作で唯一”タックルで倒しきれるラスボス戦”となっています。
突如迷い込んだ幽霊屋敷の最奥にて出会った、得体の知れないバケモノ(幽体)を相手に、
悠然とタックルで戦う、我らがワリオ。その絵面がカッコイイ。
「ダァン!!!!」
というSEと共に、勢いよく捕まえに来るシロマジン。その大きな腕にタックルを食らわすと
「テテュテュテュテュテュ!!↓」
という専用の悲鳴(?)を鳴らす事も含めて、戦っていて非常に滾ります。
本作で一番カッコイイ瞬間のワリオは、この幽霊屋敷のラスボス戦の時だと思っています。
(キャプテン・シロップをシロマジンの手から解放した後、改めて自分の身体で制裁のタックルを食らわして、地平線の彼方へとぶっ飛ばすオチも良い)
他には、海底遺跡へと沈み、同様にシロップが怪物に捕らわれるルート、
あやしげな工場に辿り着き、そこにて最終決戦が行われるルートがあります。
そして、このゲームを語る上で忘れてはならないのが、ゲーム中の全てのお宝と地図の破片をコンプリートする事で出現する、「ほんとの最終話」。
キャプテン・シロップを頭領とする海賊団「ブラックシュガー団」の宝物庫という名目で挑戦する事になるそのステージは、まるで別のゲームにでもなったかのような
異様な雰囲気と、異常な難易度を誇ります。
敵キャラだけが乗っていられる透明な床があり、その上を落ちないように敵キャラを踏みつつ渡って行くような場所があったり、
このステージだけでしか使い所の無い「タックル中にしゃがみこんで滑る」というテクニックを必要とされる場面があったりと、あらゆる手段を総動員して突破していく事になります。
クリア時間も計測されるので、最後の最後の隠し要素という事もあって、
何度もやり込んでタイムを縮めてゆく遊び方が想定されているのでしょう。
私は最初、あちこちで手間取ってまったく進めず、クリアするのに20分くらいかかった記憶があります。
その後、何度も何度も挑戦して、最終的に最速で3分半くらいには縮まったかな?
ただ、最後に待ち受けるのが、ゲーム中に何度も出てくる「デカヤリクリ」と言うのが、ちょっと拍子抜けな感じはしました。
専用の隠しラスボスも居て欲しかった・・・というのは、ちょっと贅沢ですかね。
そんな激ムズステージ「ほんとの最終話」をクリアすると、海賊団の隠し財宝を見事見つけ出し、
このゲーム最後のエンディングとなります。
前作と比較すると、操作性やステージ構成を中心に、ゲームとして順当にパワーアップしており、
リアクション芸、不死身と言った独自のスタイルを身に付け、
名実ともに今日に至るまでの独自の道を歩み始めたワリオの出世作であり、
ワリオが主役のゲームの中でも最高傑作の一つと言っても過言ではないほどの作品に仕上がっていると思います。
ただし、純粋に”ワリオの物語”として見た場合、私は「初代ワリオランド」の方が好きだったりします。
と言うのは、今作は「盗まれた財宝」というサブタイトルにもある通り、盗られた宝をワリオが”取り戻しに行く物語”なのに対し、
初代ワリオランドは、まだ何も持たないワリオが、その胸に無限大の夢と希望を抱き、お宝や自分のお城を得るために、その身一つで”掴みに行く物語”であるからです。
どちらがロマンがあるかと言ったら、断然、後者の方だと思いませんか?
私はそう思います。
それと、ゲーム中での”ワリオの表情”もありますね。
初代ワリオランドでは、常にしっかりとした笑顔で、勇気とパワーを与えてくれていたワリオですが、今回のワリオは、それと比べてちょっと控えめな笑顔です。むしろ真顔に近い。
(パッケージやゲームカセットの絵に目を向けると、初代では笑っていたのに対し、今回は険しい顔になっている。ここにも差異があります。)
色が付いてカラフルになり、様々な面でグレードアップした「ワリオランド2」ですが、
ゲーム中のワリオが、しっかりとした笑顔ではなくなったという点に関しては、
私の中では、この作品における見過ごせない欠点となっています。
それでも、小学校高学年の頃に「ワリオだ!カラーのワリオだ!!」と言って、大喜びでこのゲームにハマり、どこかに出掛ける際にも車の中でこのゲームを遊び、
更にはゲームボーイアドバンスを入手した後も、このカセットを挿してプレイしていた記憶があるので、私が中一の頃までは時々遊んでいた事になります。
お宝と地図の破片を手に入れるミニゲームが、今となっては作業的と言って差し支えない内容のものである事からも、本作は「子供の頃にハマっておくべき名作ゲーム」の一つだと言えるでしょう。
ちなみに、この後に発売されたワリオのアクションゲームは、同じくゲームボーイカラーの「3」、GBAの「ワリオランドアドバンス」、そしてWiiの「ワリオランドシェイク」等をプレイする機会がありましたが、
それらは「2」以上に探索と収集要素が強まり過ぎていた為か、爽快感よりも億劫さの方が先に立ってしまい、子供時代を過ぎていた事もあって、それほどハマりませんでした。
私の中でのワリオランドは、初代とこの「2」までで止まっており、
この二作だけで充分なのです。
それだけで、私の中には”確たるヒーローとしてのワリオ”が、
今もなお、存在し続けています。
※↓私の人生観を決めた、「初代ワリオランド」のレビューはこちら。