「RPGツクールアドバンス」ゲーム内素材を用いて、自らの手でRPGを作成!作りやすさと奥深さを兼ね備えた良作ツクール
私は昔から、基本的にアクション系統のゲームが好きですが、
その対極に位置しているであろう、レベル上げや収集要素、ストーリーの引き込み等で面白みを感じられる”RPG”というジャンルのゲームについても、
物によっては熱中してプレイしてきており、数あるゲームジャンルの中でも特に存在感のあるジャンルと言っても良いでしょう。
そして世の中には、RPG好きの方なら一度は思った事があるであろう、
「自分のアイデアとストーリーでRPGを作ってみたい」という願望を叶える事ができるゲーム群、
その名も”RPGツクール”というゲームシリーズが存在しています。
私にも、ひょんな事からプレイするきっかけが訪れ、
RPG創作の世界へと引き込んだツクールがありました。
それが、今回ご紹介する、
「RPGツクールアドバンス」です。
幾度かの発売延期を経て、2003年4月に発売されていたらしい本作。
私がこのゲームの存在について知ったのは、高校入学後の2005年の4~5月頃。
その時の私が何を思って、どのような情報を求めていたのかは忘れてしまいましたが、
何気なく休日にインターネット検索で遊んでいた時に、たまたま”RPGツクール”という単語、そして本作の公式ホームページに辿り着き、
「えっ、自分でRPGを作れるソフトなんてあるのか!しかもアドバンスで!?」
と、かなりの衝撃と情動が私の中に走り、
すぐに近所のゲームショップ”宝島”へと自転車で向かって本作を探し、箱説付きの中古美品を3980円で見つけて購入してきました。
一部で熱烈な需要があり、その歴史も長いツクールシリーズなのですが、
本作独自の大きな利点と特徴として、”テストプレイとエディットが一体化しており、遊びながらツクる事ができる”というものが挙げられます。
どういう事なのかと言うと、
このシリーズでRPGを作成する場合、基本的に”テストプレイモード”と”エディットモード”はそれぞれ独立していて、
まずはエディットモードで主人公勢や敵キャラ(グループ)・職業・技・アイテム等の各種項目を設定し、ゲーム内における”イベント”を作り込んだ後、
その都度テストプレイモードにて実際にプレイしつつ、それらを繰り返して微調整していく・・・という流れであるのが常なのですが、
本作に限っては、テストプレイ中にも各種素材の設定画面やイベントの配置画面に移行する事が可能で、
遊び感覚でスムーズなRPG制作ができる仕様を有した、唯一のRPGツクールとなっているのです。
(ツクールにおける”イベント”とは、いわゆる出来事とかシーンの事だけではなく、
ゲームに登場する人や物・宝箱等の設置物の他、移動を始めとした様々な効果を及ぼす為のもの全てを指します。)
イベント作成については、本作が初ツクールであった私にとっても理解しやすく、非常に取っつきやすい作りとなっており、
簡単なイベントコマンド(命令)を組み立てるだけで、ありとあらゆるやり取りや演出の実現が可能となっています。(もちろん、制約の枠組みの中での話ですが。)
例えば、イベントの移動・パーティの移動・メッセージ・戦闘という四つの命令を組み合わせると、
「主人公達と敵が離れて向かい合い、少しの問答をした上で、お互いに駆け寄ってボス戦開始!」・・・といった演出等もお手の物であり、
遊び始めた頃は、たったこれだけの事でも非常に衝撃かつ革新的な体験で、
次の日が学校だというのに、熱中し過ぎて朝の五時までプレイしてしまっていた事を覚えています。
一度起きたイベントを繰り返し発生させなくしたり、何かのイベントを経る事で別のイベントに影響を及ぼす、
いわゆるフラグ管理は、”スイッチ”と呼ばれる番号のオン・オフでコントロールしていき、
これも理解さえしてしまえば非常に面白く、次々とイベントを作っていくモチベーションになっていました。
RPGにおいて付き物である、
宿屋や教会、お店といった各種施設も、値段や品揃えを設定するだけで簡単に作成可能である事に加えて、
教会とお店は、BGMも好きな曲を設定する事ができます。
また、お店で装備品を買う場合、キャラクター毎に装備可能であるかどうかと、
ステータスの数値が上昇するか下降するかも表示されるので、まるで市販のRPGのような雰囲気を醸し出していて、非常にGOOD。
(また個人的に、お店はデフォルトで設定されているBGMも、ワクワク感を感じさせる良曲です。)
拠点や行く先々の休憩地点として活用する、町・村・城などのマップは、
まず土台となる大きなマップが何十種類か用意されており、それを決めた後、
あらかじめ素材として用意されている建築物を好きな場所に配置し、内部のマップも好きなものを選択して設定する・・・といった具合に作成していきます。
他のツクールシリーズ作品だと、それこそ1マス単位で”マップチップ”と呼ばれる素材を敷き詰めていく、膨大な作業が必要となる事が多いマップ制作ですが、
この作品に関しては、そのような心配はありません。
イベント作成と並んで、あくまで遊び感覚でありながら、
ある程度の自由さを感じながら制作していけるよう、最大限の配慮がなされています。
冒険の舞台となるフィールドマップも、
あらかじめ用意された六種類の中から選ぶ形式となっていて、
そこへ、作り込んだ町や村などのマップを指定して配置する事で、出入りが可能となります。
それともう一つ、ダンジョンマップの作成については、少々勝手が異なっているのですが、
鉛筆のようなツールで、↑の画像のような通路を描く事と、
ダンジョン用のマップ素材として数多く用意されている、大小の空間を設置して、
それらを繋いでいく・・・という、極々簡単な手順による、まるでパズルのような感覚で作り込んでいく事が可能となっています。
(また、上記とは別に、ダンジョン用に広大かつ凝られたマップもいくつか用意されているので、
それを使う事によっても、労力を少なくする事ができます。)
気になる戦闘画面については、こんな感じ(↑)。
主人公側は最大4人、敵側は最大6体が参加可能な、”ファイナルファンタジー”シリーズのようなサイドビュー戦闘である事から見応え抜群で、
通常攻撃・特技・アイテム・防御・逃走といったコマンドの他、
前列と後列の要素を採用しており、
後列のキャラは通常攻撃による威力が低くなる代わりに、被ダメージ量も軽減されるという仕様になっています。
それと、特技の属性・耐性の概念も合わせて、
ツクール作品でありながらも、アイデア次第で奥深い戦闘バランスにする事も可能です。
(通常戦闘曲はデフォルトのもので固定ですが、どれだけ聞いても飽きのこない良曲に仕上がっていると思います。)
また、更に驚きなのが、
後列時にどれだけ通常攻撃の威力が下がるかというのは、
そのキャラクターが装備している武器の”アイコン”によって決まるという事。
↑の画像における、
上段の剣4種と、中段・下段のハンマー(斧)3種と杖2種は約40~60%の威力になりますが、
中段の槍2種、下段の鞭だと70%、
上段と中段の弓2種に至っては100%で、後列に居てもデメリットが全く無いという事です。
(逆に下段の爪は20%と、最も威力が減少します。)
半ば、隠し要素に近い仕様ではありますが、
これを念頭に置いた上で、各武器の威力や使い手を設定していくのも非常に面白く、装備品には様々な特殊効果も付ける事ができるので、
一時は武器(+防具とアクセサリー)の作成だけに、ひたすらハマっていた事もありました。
メニュー画面は、こんな感じ(↑)。
アイテムと特技の使用や、装備やステータスの確認等に加えて、
この画面でも、キャラクターの前列・後列を切り替える事ができます。
画面のレイアウトも、市販のRPGに近い風格を有しているのではないでしょうか。
自分のゲーム制作に疲れた時は、
サンプルとして収録されているゲーム「ジュエルキーパー」を遊ぶ事によって、気晴らしもできます。
そのシナリオは、数あるRPGシリーズの中でもコアなファンを擁しているであろうとされる、”メタルマックス”シリーズの「宮岡寛」氏が担当しており、
いきなり主人公が投獄されるところから始まるという冒頭によって、掴みはバッチリで、
その後も、至って模範的なシナリオ運びと内容によってストーリーが展開されていき、
終盤には、特定のイベントアイテムを集めた上で飛行船に乗り込み、最終決戦の地へと降り立つという流れとなり、一般的なRPGとしての面白さはしっかりと確保されています。
ただ、主人公の脱獄に協力してくれた「ゴドー」と「ガトー」の盗賊コンビが、
最序盤のボス戦・ただ一戦のみの参戦以降、二度とゲームに登場しなかったり、
中盤からしばらくの間だけのお助けキャラかと思われた賢者「マクファーン」と、その愛犬にして忠犬の「カミツキ丸」が、そのままラスボス戦まで同行する事になるのは、
当時の私としては結構意外だったというか、もう少し盛り上げられたのでは?と思った記憶があります。
そういう”惜しさ”を感じさせる作りになっていた点は、
あるいは自らのゲーム制作へのモチベーションを高める目的として、意図したものだったとしたならば、私は頭が上がりません。
・・・と、そんな感じで、
昔から今まで、ほぼ一貫してアクションゲーム派である私を、
RPG制作という新たな世界へと誘った「RPGツクールアドバンス」について、ご紹介させて頂きました。
最初に述べた通り、当時の私が一体何を考えて、
このゲームの存在に辿り着いたのかどうかは、もう思い出す事はできません。
それでも、その情報を知った瞬間に強烈に興味が湧き、
向かったゲームショップにて中古美品がしっかりと置かれていて、私の手に渡ったのは、ある種の天命だったとしか思えません。
”RPGを自分で作れるゲームがある”というのを知った事、
それを本作によって実際に体験した事による、その当時の衝撃はかなりのもので、
私の場合、大好きな「パワポケ2」のキャラクター達がファンタジー世界を冒険したら?という思考を形にするべく、
高校一年生の頃に、それはもう熱心に遊び込んだものです。
(素の状態だと、ゲームデータが一つしか保存できない為に、
わざわざ外部保存用である「ターボファイルGB」という専用の周辺機器まで探して買ったりもしました。)
ただ、いくら本作が取っつきやすく、シリーズ初心者にもツクりやすく配慮されているツクールだとは言え、
やはり一本のRPGを完成させる為に必要となる時間や作業量は相当なもので、
根気も持続力もない学生の頃の私に、まともに作品を完成させられる訳もなく、
私の思い描いていた「ドリルモグラーズ BOUKENKI」は、各種素材と序盤のイベントだけきっちりと作っただけで、未完成のまま終わってしまいました。
さすがに、今さら再び本作と向き合う時間も熱意もない為、再プレイする予定はありませんが、
それでも、私のゲーム人生を振り返った時、とりわけ高校生の頃にプレイしていたゲームソフトとして思い出した時に、
本作「RPGツクールアドバンス」は、絶大な存在感と独自性を誇ったゲームソフトである事には違いなく、
そのオンリーワンな風格は、三十過ぎとなった今でも衰えていません。
(本ツクールの欠点として、細かなバグが非常に多い事が挙げられますが、簡単に対処可能なものが多く、
当時から今に至るまで、本作についての情報を丁寧にまとめた「TABITEAM」というサイトが存在している事も手伝って、それほど大きな問題点にはなっていないと思います。)
~~願わくば、もう一度自分として生まれてくる事ができるならば、
次こそは、作品完成までやり遂げたいと思える体験と未練を残した「RPGツクールアドバンス」。
個人的に、数あるGBAソフトの中でも替えが利かない立ち位置と、確かな希少性を保ち続けているタイトルだと思うので、
興味が湧いた方は、是非一度お手に取ってみて頂き、
そのツクりやすさと奥深さを兼ね備えたRPG制作を、直に体験してみてはいかがでしょうか。
最後に余談ですが、「RPGツクールアドバンス」によるツクール体験があまりに衝撃的だった当時の私は、その時点までの過去作もある程度やってみたくなり、
GBCの「RPGツクールGB」「うちゅう人田中太郎でRPGツクールGB2」、
SFCの「RPGツクール SUPER DANTE」「RPGツクール2」と、次々に中古で買ったりした他、
高三の時には、遂に友人S君までもが影響を受けて初代プレステの「RPGツクール3」を買い、
一時は彼の家で、それらを一緒にプレイしたりもしていました。
無論、当時の私が自作品を完成まで持って行ける訳はなく、
その大半はサンプルゲームを遊んだり、素材やBGMを見聞きしたり、ツクるにしても序盤までで断念して飽きてしまっていましたが、
↑の画像の「RPGツクールGB」だけは例外で、
友人S君が小学生の時にノートに描いていた「パワポケ1の亀田君が、会社をクビになったのをきっかけに川に身投げしたところ、一億円の在り処が書かれた地図が瓶に入った状態で流れてきて、たまたま居合わせて命を救ってくれたスマブラDXのMr.ゲーム&ウォッチと共に、一億円と人生再起を求めて旅立つ」というストーリーの漫画を原作としてゲーム制作を開始し、
高校生当時は中盤近くまでツクって飽きて長年放置していたものの、大学卒業して数年後に彼の家の”レトロフリーク”にて本作を遊び直した際に再燃し、
GBASPにて制作を再開して、実に制作開始から10年の時を経て完成まで持って行った、という出来事があります。
(ただ、それでも中盤~終盤の戦闘バランス調整まできっちりやろうという気にはならず、その辺りはおざなりなまま完成としてしまいましたが。
また、画像はサンプルゲーム「NOBLE CAT」のものです。)
全体的なゲーム画面やBGMが醸し出す、その機種における市販のRPGっぽさは、
個人的に「RPGツクールアドバンス」よりも上だと思っているので、良ければこちらもオススメです。
通常戦闘のデフォルト曲である、”せんとう1”は名曲ですよ。