「ファイアーエムブレム 封印の剣」ソードマスターのイケイケ調整が光る、シリーズの転換点となった名作シミュレーションRPG
任天堂が展開するゲームシリーズの中では、
比較的マイナーな立ち位置から始まり、初期の何作かの間は一部の熱狂的なファンにのみ支えられていたイメージがありつつも、
徐々に万人受けする作風やゲームバランスへと舵を切った事で、人気や知名度を確立し、
今なお、新作が出続けている「ファイアーエムブレム」シリーズ。
今回は、その中でも特に大きな分岐点となったであろう作品。
「ファイアーエムブレム 封印の剣」について、語らせて頂きます。
ゲームボーイアドバンスにて、2002年3月に発売。
本作にて主人公を務めるキャラクター「ロイ」は、
この作品よりも四ヶ月程前に発売された、対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズDX」に操作キャラとして先行出演しており、
その事がきっかけで、当時スマブラを始めとした任天堂ゲームでよく一緒に遊んでいた友人A君が本作を購入していました。
それから一年近くが経過した中学一年生の冬頃に、(彼からの面白いという旨の感想もあって)なんとなく自分もやってみたくなり、
彼から貸してもらった事によって、プレイする機会が訪れました。
ジャンルは”シミュレーションRPG”とする本シリーズですが、
私はこの作品以前にも、我が家にSFCの「紋章の謎」と「聖戦の系譜」が存在していた事から、
ターン形式でお互いにマス目に沿ってキャラクターを動かし、敵に隣接させて攻撃・撃破していき、
そのマップにおけるボスを倒して”制圧”する事によってマップクリアとなり、
また次のマップへと進んでいく・・・という大体のゲーム性は、既に把握していました。
ですが、小~中学生時点の子供目線だと、
上記のSFC二作品は、ゲーム的にも雰囲気的にも敷居が高いように感じており、どちらも最序盤のうちに挫折してしまっていたのです。
そこを、万人がプレイできるようなライトな雰囲気へと変え、
ゲームバランスも多少緩やかにして、シリーズの間口を広げたのが本作であり、
どちらかと言うとアクション系統のゲームが好きな私でも、最後まで遊びきる事ができました。
(完全クリアの条件がやや難解な作品としても知られていますが、
私はA君から攻略本も一緒に借りていたので、国王を倒した時点でゲーム終了となる事なく、真のエンディングまで到達できました。
最終章一歩手前のマップにて、敵側の人型の竜から語られる歴史の真相には驚きの内容もあり、物語的にも満足感があった事を覚えています。)
熱狂的なファン、通称”エムブレマー”を多く輩出しているシリーズだけあり、
硬派で筋の通ったストーリーと、死人は(基本的に)蘇らない緊迫感あるゲーム性を併せ持ち、
GBA初のシリーズ作ながら、確かな手応えと面白みを感じられる作品なのですが、
個人的に、私が本作(ひいてはこのシリーズ)の何が一番面白いところなのかと言うと、
レベルアップ時のステータス上昇がランダムであるという点だと思っています。
各キャラ毎に、どのステータスがどれだけの割合で上がりやすいのかという、”成長率”が個別に決められてはいるものの、
運が良ければ一度に4~5つのステータスが上がったりする一方、
大抵はそのキャラクターが上がりやすい2~3つのステータスか、運が悪いとHPしか上がらなかったりして、
その結果に一喜一憂する、非常に大きな中毒性を秘めています。
つまり、各プレイヤーがプレイした回数分だけ、幾通りもの成長過程があるという事で、
同じキャラでも最終的にどれだけ強くなるか、又はそれほど強くならなかったりするかというのも、
試行回数によってバラつきがあるという事です。
私の場合、前線で戦わせる主要キャラクター達、要するにお気に入りのキャラクター達が弱く育つというのは耐えられない性質だったので、
それらのキャラがレベルアップする毎に、ステータスの伸びがイマイチだった場合、
リセットをして再びそのマップからやり直すという、いわゆる”吟味プレイ”を行っていました。
その半ば作業とも言えるプレイ方法によって、愛着あるキャラクター達を滅法強く育て、
中盤以降を無双していくところに、このゲームの面白みを見出していたのです。
上述した事情と合わせて、本作はストーリーの盛り上がり的にもスロースタートな感じがあり、
個人的には、序盤においてはイマイチ面白みに欠ける作品だと思っています。
飛躍的に面白くなるのは、7章「オスティアの反乱」にて、
好きなだけキャラクターの強化と資金稼ぎを行える闘技場が登場するので、
そこで特定のキャラ達のレベルを上げ、”クラスチェンジ”もする事によって大幅に強化し、
無双プレイを行えるようになる8章から。
本作は、特定の職業とそのキャラクター達が明確な強ユニットとして設定されており、
それらのキャラ達で圧倒的な無双プレイをしていく事、
また吟味プレイによって、最終的に完成されたステータスに仕上げる事が、
このゲームにおける面白さの大部分を占めており、私にとっての強烈な思い出として残り続けているのです。
(その中毒性から、今に至るまでにニ~三度再プレイもしましたが、
上述の通り、レベルアップの際に入念な吟味を行うプレイスタイルである都合上、どれも途中で飽きてやめてしまっています。
よって、私が本作をクリアまでプレイしたのは、中学生当時のただ一回だけとなりました。)
~~以下からは、それについて言及していくと共に、
本シリーズを語る上での醍醐味であろう、キャラ語りをしていきます。
紹介するのは、私の中での本作を代表するキャラのみに厳選しており、
個人的なお気に入り度、そして存在感の大きさ順となっています。
(書いてある事は、他のサイトと大体同じような内容になってしまっているとは思いますが、
私も本作のキャラ語りをしてみたかったのですよ。)
それでは、どうぞ・・・!!
■ルトガー
THE・強キャラ。
シリーズ恒例の寝返り剣士枠にして、本作を代表する最強チートキャラクターであり、
私のプレイした全てのゲームの中でも、”強キャラ”と言えば真っ先にその存在を思い出すキャラ。
4章という序盤のうちに登場し、最初こそ多少危なっかしいものの、
7章にて真っ先にクラスチェンジさせるキャラとして最有力候補となり、チート職業「ソードマスター」にクラスチェンジしてからというもの、
一番安価な武器である”てつの剣”だけであらゆる敵を葬り去り、自分は敵の攻撃を全て避ける為に無傷と、最強の座を欲しいがままにした男。
私は率直に言って、クール系イケメンという種類のキャラはあまり好みでない場合が多いのですが、この人は別。
昔から今に至るまで、圧倒的なゲーム内ヒーローの一人として君臨し続けています。
■フィル
中盤手前に加入する二人目のソードマスターであり、ルトガーと並ぶ本作の最強キャラ。
そして(私の中での)本作のヒロインキャラ。
登場タイミングとクラスチェンジの遅れ(と性別の違い)によって、活躍度と存在感の面でルトガーに一歩引けを取る印象があるものの、
ソードマスターという職業自体がぶっ壊れな為、クラスチェンジさえしてしまえば、強さ的には殆ど互角。
その強さとキャラデザもさる事ながら、
武者修行に明け暮れる生真面目さの中に、悪人でも簡単に信じてしまう危うさ(純真無垢さ)を持った性格設定等から、当時本当に大好きなキャラクターでした。
■カレル
三人目のソードマスターにして、本作最後の仲間として一行に加わるキャラクター。
そして、(基本的に最後まで使用するには堪えない性能として調整されている)本作の上級職加入キャラの中で唯一人、異質の強さを誇った男。
どんな感じで異質なのかと言うと、レベルカンスト手前のほぼ完成されたステータスで加入し、
あと一回しかレベルアップできないものの、確定で全てのステータスが上がり、
HPに至っては2~3上がるという有り様。
通常、レベルアップ時におけるステータス上昇量は各1ずつなのですが、この男は何故か例外。
なまっていた身体を揺り起こしたという演出なのか、はたまた剣の道を極め過ぎた結果、人間を辞めて神に近い存在となっている事を示唆しているのか。
ともかく、彼の存在をもって「本作のソードマスターは、意図的に優遇した選ばれし者達なのだ」という事を明確に表しています。
■ディーク
ソードマスターと並ぶ、敵とのガチンコ勝負をウリとした花形職業「勇者」になれるキャラクター。
2章から部下を引き連れて登場し、その兄貴分のようなキャラデザと性格設定によって強キャラ感&存在感は抜群で、
実際に初期ステータスの高さによって中盤までは大活躍し、使おうと思えば最後まで充分使える強キャラ。
成長率自体は若干物足りないところもありますが、
私は吟味しまくって、攻守共に見た目通りの強さを持つキャラクターに育て上げました。
■オージェ
どこぞの最強ルトガーさんがソードマスターとなった直後の8章というタイミングにて、
平凡な初期ステータス(と見た目)で登場する為、使用者が少ないイメージがあるものの、
花形職業「勇者」になれる数少ない人物である上、成長率も高めとくれば使わない理由が無いという事で、私は登場章から吟味しつつ、最後まで一軍起用したキャラクター。
最終的なステータスは、本作の全仲間キャラの中でも屈指の高さを誇る。
・・・ただし、そこまで華々しい活躍をしたかと言うと、記憶的には正直微妙。
おそらく、名前からキャラデザ、作中のセリフ等に至るまで、ソードマスターコンビやディークを食わないように、意図的に影の薄い存在として作られていたからだと思われる。
その辺り、本作の制作スタッフ達による印象操作(?)が冴えてたなと思ってます。
■クラリーネ
最強の男ルトガーと同じマップにて登場し、彼を説得して仲間に引き入れるという大役を担う豪胆な女性にして、
(私の中では)フィルと並ぶヒロインキャラ。
馬に乗った杖役というだけで便利な上、
7章の闘技場で回復役を務めて下級職レベルマックスにしておき、8章にてルトガーに次ぐ形でクラスチェンジしてからは、
理魔法も扱える「ヴァルキュリア」となって攻撃にも参加できるようになり、ソードマスターコンビにも負けず劣らずな活躍を見せるようになる。
フィルと同じく、性能面での強さと性格面での芯の強さを併せ持った、
非常に私好みのキャラクターでした。
■ロイ
序盤こそ、主戦力となって戦いに参加できるものの、
中盤からは将棋における”王将”の駒のようなポジションに引っ込み、長らく味方に守られる期間を過ごす事になる。
ゲーム終盤、22章開始手前にて満を持して「マスターロード」にクラスチェンジした後は、
それまでの鬱憤を晴らさんとばかりに、専用武器”封印の剣”をブンブン振り回す豪快な戦闘モーションを引っ提げて、最終盤の戦いで再び主戦力に返り咲いて大暴れするという、
色々な意味で、主役としての風格を抜群に携えた主人公。
個人的には、攻略本に記載されていた程の成長率の高さは感じられませんでしたが、
吟味しまくって穴の無いステータスに仕上げました。
■チャド
「盗賊」という裏方的な仕事を担う職業として、終始欠かせない存在として活躍する上、
その成長率の高さから、ロイと同じく序盤に限っては主力として戦闘もこなせるキャラ。
色々なサイトで「クラスチェンジできないのが惜しい」と評されていますが、
私は、それこそが彼の持ち味だと思っています。
終盤まで度々出番のあるキャラにも関わらず、早々に成長が止まってしまう為、序盤における入念な吟味によって愛着が湧きますからね。
あと、顔付きがなんか”少年ジャンプ”感があって好き。
■スー
本作における、ソードマスターに次ぐ壊れ職業「遊牧騎兵」になれるキャラクターであり、
凛としたキャラデザと性格設定等から、本作における好きなキャラの一人に数えられるにも関わらず、
私が一度クリアまでプレイした際には、序盤のうち(おそらくは7章の闘技場による育成作業の最後の方)に死なせてしまい、華々しい活躍をする事なく散ってしまった。
その為、ゲーム後半で発生する”サカルート”又は”イリアルート”への分岐は、
必然的にイリアルートへと進まざるを得なくなったのでありました。
最後まで使ってあげたかった。申し訳ない。
■シャニー
上記の事情により、イリアルート進出のキーキャラとして白羽の矢が立ち、
吟味をしまくった上で前線を戦い抜く事になった、
フィル、クラリーネに次ぐ(私の中での)本作のヒロインキャラの一人。
2章に加入するキャラとしては初期値が優秀な上、吟味前提なら成長率も割と高く感じられたので、
8章以降で「ファルコンナイト」にクラスチェンジしてからは、普通に高ステータスの強キャラとして活躍してくれた記憶があります。
■アレン
ゲーム開始時点から登場する、シリーズ恒例のソシアルナイト二人組の片割れ。
私がプレイした際には、彼に限っては一切吟味していなかったにも関わらず、
レベルアップの度に平均して4つずつのステータスが上がっていき、
8章以降で「パラディン」にクラスチェンジさせた時点で、既に動く要塞と化していた記憶があるキャラクター。
高い移動力と穴の無いステータスによってなんでもこなす、
万能スーパーサブ的な役割として、ゲームの進行を補佐してくれました。
■ミレディ
アレンと同じく、一切吟味なしでも(登場章の闘技場にて)良成長を見せ、
すぐに「ドラゴンマスター」にクラスチェンジしてからは、飛ぶ要塞と化してあらゆる局面で大暴れしていた記憶があるキャラクター。
(そして偶然にも、彼と同じく赤色を基調としたキャラデザである。)
空を飛べる分、万能スーパーサブ的な役割としてはアレンの上を行く存在でしたが、
彼に比べると加入が大幅に遅い為、記憶に残っている存在感的には同等と言った感じ。
■イグレーヌ
公式チートキャラであるカレルを除くと、
おそらく本作における初期上級職の中では、最も戦闘能力に優れたお助けキャラ。
私がプレイした際には、一軍の中に弓を扱えるキャラが一人もいなかった為、
15章という絶妙なタイミングにて、そこそこの初期ステータスで登場した事もあって、
彼女をどうにか吟味しまくって、最後まで使い続けました。
褐色で頼れるお姉さんキャラクターというのも、本シリーズにおいてはなかなか珍しいのでは?