「コロコロカービィ」世界初の”動きセンサーカートリッジ”によって斬新なゲーム体験を提供した、長年隠れ気味だった名作カービィ
バラエティに富んだ、多数のゲームタイトルを世に送り出してきた”カービィ”。
今回は、その中でも最も異色かつ、
特殊な立ち位置とされるであろう作品をご紹介します。
それが、ゲームボーイカラーにて発売された、
「コロコロカービィ」です。
発売は2000年8月。
当時、世界初の”動きセンサー”を搭載したカートリッジとして、
手の中でカービィをコロコロ転がして遊ぶという事を、丁寧に紹介したテレビCMが放送されていました。
ただ、私は当初プレイする予定はなく、同じ年に母親から買ってもらえていたニンテンドー64で遊んでいたのです。
ですが、無類のカービィ好きであった、その頃の私は、
星のカービィシリーズの4コマ漫画の本を大量に集めており(その数約20冊ほど)、
ある時本屋に行った際に、本作の4コマ漫画の本も見つけて買った事で、
やはりゲーム自体もプレイしたくなって、近所のショッピングモールにて購入して、プレイするに至ったのです。
(調べてみたところ、その4コマ漫画が発売されていたのが2001年3月なので、
おそらくは、その翌月頃の出来事かと思われます。)
さて、上記で述べた通り、
本作品は”動きセンサーカートリッジ”という事で、ゲームボーイカラー本体を傾ける事によって、
カービィを右へ左へ、奥へ手前へとコロコロ転がしながら進んで行くという、
斬新なプレイスタイルとなっています。
1993年~1995年に展開された、
その球体型の身体を活かしてデザインされたゲームである「ピンボール」「ボウル」「ブロックボール」通称”ボール三部作”(と、私が勝手に呼んでいた)の流れを継いだ作品であり、
今回も、その丸っこい身体自体を武器とした戦闘スタイルにて、
デデデ大王討伐を目的とした、冒険の旅に出かける事になるのです。
カービィが”ゲーム内のボール”として扱われている作品である以上、
ステージ中には大量の「バンパー」が設置されており、幾度となくぶつかる事になるのですが、
二つ以上のバンパーが密集している地点では、連続してぶつかる事によってカービィが数秒間だけ無敵状態となり、その状態だとバンパーをはじき飛ばして1UPしていく事ができます。
後述する「レッドスター」等の収集要素のやり込みにも関わってくるので、
このバンパーを利用した無敵化は、本作における重要なテクニックの一つとなっています。
また、バンパーと並ぶ代表的なギミックとして「ジャンプ穴」があり、
ここに嵌まった状態でAボタンを押す事によって、矢印が向いている方向へとジャンプする事ができます。
↑の画像のように、あらかじ方向が決められている物の他、
本体を傾ける事で方向を指定する物、ルーレット形式の為にタイミングよくAボタンを押す必要がある物があり、
ステージを進む為のギミックとして、頻繁に登場してくる仕掛けとなります。
では、ジャンプ穴を使う事でしかジャンプができないかと言うと、そんな事はなく、
本体を上にクイッと動かす”跳ね上げ”動作によっても、
カービィをジャンプさせる事ができます。
このアクションを使うと、ジャンプと同時に画面内の敵を倒す事ができる他、
バンパーをひっくり返して隠しアイテムの有無を確認したり、バンパーそのものの色を変えて効力を変化(青色は押し出し⇔赤色はジャンプ)させたりと、
様々な影響を及ぼす為、かなり重要性の高いアクションとなっています。
転がすだけでなく、このような操作によってジャンプも可能であるという点は、
個人的に、本作における大きな評価点となっています。
それと、一部のステージに登場する「Gマーク風船」を取る事で、
カービィが15秒間だけ空を飛ぶ事ができます。(Aボタンで空気弾を出して攻撃も可能)
このように、コピー能力は使えないものの、
「ピンボール」「ボウル」「ブロックボール」程には”ボールとしての役目に徹している感”はなく、
あくまでプレイヤーの操作によって、自力でステージを進んで行ける為、
突飛なシステムでありながらも、きちんとアクションゲームとしての体を成していると言えるでしょう。
各レベルにおける、4つ目のステージは「お城ステージ」となっており、
一定時間が経つと元に戻ってしまう為、素早く全てを踏む必要がある「スイッチ」、
どこかに隠されている「鍵」を見つけ出さないと開かない「鍵穴の付いた扉」といったギミックが用意されている他、
決まって登場してくる、青色や赤色からなる敵ロボットによる妨害も厄介で、
他と比べて、難易度の高いステージ構成となっています。
お城ステージの最奥には、ボス戦が待ち受けており、
本作初出となるボスキャラ「メガイター」とのバトルを繰り広げる事となります。
(”目が痛い”から「メガイター」!? というネタが4コマで何度も描かれていた記憶がありますが、
まさにそのような由来の名前なのでしょう。)
相手の攻撃を避けつつ、ステージからも落ちないように気を付けながら、
そこかしこに設置されているジャンプ穴を使って、ヤツの目玉めがけてぶつかる事によってダメージを与えていき、
撃破すると、そのレベルクリアとなります。
(レベル3・6では「クラッコ」がボスとして登場し、空気弾を当てて戦う空中戦の形式となっています。)
大体、ここまでで説明したものが、
本作の基本的なアクションやギミック、そして大まかなゲームの流れとなり、
全8レベル×4ステージからなる、多彩な構成による合計32ステージの攻略を目指す事となります。
ちなみに、各ステージには「レッドスター」と呼ばれる赤い星が隠されており、
これを全て見つけ出してゲームをクリアする事で、
全ステージが難易度の高い構成に一新された”EXステージ”が出現するので、
カービィファンならば、コンプリートを避けて通る事はできません。
また、レッドスターと並んで「ブルースター」という青い星も存在し、
これを取ってステージをクリアする事で、五種類存在する楽しいミニゲームに挑戦し、残機を増やす事ができます。
↑の画像は、わずか3秒の間に卵から孵化してニワトリへと成長したニワトリと、
崖の上にてギリギリのデッドヒートを繰り広げるという、
まるでこの世の物とは思えぬ夢のような面白さを誇る「カービィのフリフリチキンレース」。
十字キーの左とAボタンを押しっぱなしにした状態で、ゲーム機本体をフリフリして発射する力を溜め、いかに崖ギリギリまで近付けたかを競うゲームなのですが、
目測を誤って、カービィが勢いよく崖外へと飛び出し、
「うわあああぁぁぁ・・・・」
「ズギャアアアァァン!!!!」
「テッテレッテレッテ~~レレッ ・ テッ♪」
となる流れには、子供の頃なら誰もが笑いを誘われた事でしょう。
(そうなると、再挑戦時にカービィが頭に絆創膏を貼っているのも、ネタが細かくて良いなと思っていました。)
ミニゲームは他にも、本体を傾ける事で照準を動かして風船を射ていく「カービィバルーン」、
Aボタン連打で走り、本体の跳ね上げ動作でハードルを越えていく「カービィのハードルレース」、
指定された振り付けの通りに踊っていく、覚えゲーである「ダンス・ザ・カービィ」、
複数のカービィを、本体の微妙な傾けによって全ての穴に収めていく「カービィのマルチボール」があり、
個人的には、上から順番に高い中毒性があり、
体感操作を活かしたミニゲーム集として、これらのミニゲームで遊ぶだけでも、
立派なゲーム体験として成立するぐらいの面白さを秘めた、秀逸な出来栄えであると思っています。
そして、冒険の果てに待つ”レベル8・ステージ4”では、
お馴染み「デデデ大王」とのラストバトルが待ち受けています。
世界初となる”動きセンサー”を利用したゲームソフトとしてのゲーム体験を提供するべく、
意味もなくプププランドの星を盗む役割とされてしまったデデデ大王を、大砲によってカービィを何度も発射させてぶつかって倒すという、
シリーズ中でもかなり異様となる、この最終決戦を制すると、無事エンディングとなります。
・・・と、そんなこんなで、こうして最低限の要素を説明しただけでは、
その面白さは伝わりにくいであろう事は承知の上ではありますが、
ハズレの無いカービィシリーズの一作品として、高い完成度と確かな面白さを誇り、
小学六年生の頃の私に、斬新かつ夢のようなゲーム体験を与えてくれた本作。
やはり、本作を語る上で特筆すべきなのは、
体感的な操作性を有したゲームソフトの開発と、それによるゲーム体験の提供を、
”2000年”という時点で実現していたという点でしょう。
当時は、そのテレビCMを見て、
「へぇ、今度のカービィはこんななのか」という程度にしか思わなかったのですが、
その後に登場したWiiや3DS、そしてSwitch等といったゲーム機本体に継承されている”センサー技術”が、
カービィシリーズの1タイトルとして、本作にて先駆け的に登場していたというのは、
任天堂の歴史を振り返ってみた時に、実に感慨深いものがあります。
その斬新なアイデアと技術に頼った、一発屋的な存在に留まらず、
高い面白さと遊びやすさ、そして間口の広さを確保しており、
クオリティの高いゲームソフトとして妥協なく完成されていたのは、
そんなわけで、当時大好きで、夢中になって遊んでいた「カービィのゲーム」のうちの一つとして、
とても思い出深い作品として、ずっと心に残り続けていた一品です。
ですが、EXステージまで完全攻略したか?と言われると、正直なところ、その記憶は定かではありません。
”ボール三部作”の流れを受け継いでいるだけあって、裏面を含めた完全攻略の難しさは、個人的には「カービィボウル」の次に位置していたと思っているので・・・。
~~その特殊な作りとゲーム性である事から、
長らく移植に恵まれない、”隠れた名作”的なタイトルだったと思われる本作ですが、
発売から22年余りの時を経て、2023年6月より「Switch Online」にて配信されています。
ゲームボーイカラー(又は初代GBA)の小さな画面で遊ばざるを得なかった本作を、
テレビの大画面にて、Joy-Conの傾け操作で気軽に遊ぶ事が出来るので、
プレイ可能な環境にある方は、是非一度体験してみてはいかがでしょうか。