かめのあきのゲームブログ

好きなタイトルを中心に、レビューや思い出を画像多めで書き綴ります。

「ゼルダの伝説 夢をみる島」かぜのさかなの夢の中にて繰り広げられる、儚くも壮大な思い出として残り続けるリンクの冒険

マリオやカービィと並ぶ、任天堂の看板キャラクター「リンク」が主役を務め、

今なお、最前線で新作が展開され続けているゼルダの伝説シリーズ。

 

私にも、物心が付いた頃から慣れ親しみ、

今に至るまで、心と記憶に残っているシリーズ作が一つ存在します。

 

 

それが、今回ご紹介する、

ゼルダの伝説 夢をみる島です。

 

 

白黒ゲームボーイにて、1993年6月に発売。

 

約一年半前に発売された、SFCの「神々のトライフォース」の続編にあたり、

今回は故郷「ハイラル」から場所を移し、ある島を舞台にリンクの冒険が繰り広げられます。

 

カセットに貼られている、↑の画像のイラストからもそれが伝わりますし、

リンクの隣に描かれている、本作のヒロイン「マリン」の姿がひときわ目を引きます。

 

 

電源を付けて始まるオープニングデモでは、

嵐の中、(おどろおどろしいBGMと共に)船旅を決行していたリンクが、

雷の直撃を受ける様子が映し出されます。

 

 

そうして、どこかの島に流れ着いたらしいリンクは、

浜辺を歩いていた少女、マリンによって発見されます。

 

そこから、視点が上へとずれていき・・・

 

 

ゲームカセットやパッケージのイラストにも描かれている、

”大きな卵”が乗った山が映し出されつつ、↑の画像のタイトル画面になります。

 

以前に紹介した、同じく白黒ゲームボーイソフトの「ワリオランド」と同様、

このオープニングデモの時点で既に、名作の雰囲気を存分に漂わせていますね。

 

 

ゲームを開始すると、

その名を「コホリント島」と言う島の中の「メーベの村」にて、

マリンとその父タリンによって介抱されているシーンから、物語はスタート。

 

まずは、浜辺に落としてきていた”剣”を取りに行く事になるのですが、この時点までしか流れない、

「盾のみを手にして、不思議な島にて新たな冒険が開始される・・・」といった心情を描いたであろう、不安と心細さが入り混じったBGMがやたらと印象的で、

この時点で既に、本作の世界へと入り込んだ気分を味わう事になります。

 

 

剣を手にして、勇壮なBGMとなってからまず向かうのは、

メーベの村の北に位置する「迷いの森」

 

ここでは、まず”ネボケタケ”というアイテムを”魔法の粉”に変えた上で、

迷惑なタヌキにふりかけて正体を暴くという、作中最初の謎解きが早々に展開される事となります。

 

 

ちなみに、↑の画像の「フクロウ」は、剣を取る直前の段階から登場し、

ゲームの最後までリンクを導くナビゲーターとしての役割を担うキャラクターであり、

 

他にも、各地に点在する電話ボックスにて電話をかける事で、メーベの村に住む「うるりらじいさん」というキャラクターが進行状況に応じたヒントをくれる等、

ゲーム進行における導線作りには、しっかりと配慮が為されています。

 

 

迷いの森にて”テールの鍵”というキーアイテムを取得した後に向かうのは、

本作最初のダンジョンとなる、レベル1ダンジョン「テールのほらあな」

 

ここでは、本作を象徴するアイテムであるロック鳥の羽根”が入手でき、

これによってジャンプが可能となる為、アクション性がグッと高まります。

 

 

以降のダンジョンでも、アクション要素を増やしたり、探索できる範囲を増やす為のアイテムが、

一つずつ順番に登場してくる形となっています。

 

 

また、↑の画像のように、

各ダンションには、一時的に横スクロールアクション形式のような視点となる場面が存在し、

そこではクリボー「プクプク」等、マリオシリーズ”の敵キャラクターが登場してくるものの、何故か不思議と馴染んでおり、

プレイヤーに対して違和感のない楽しさと、色濃い印象を与えます。

 

 

ダンジョンの最奥では、それぞれに手強いボスが待ち受けており、

倒すと”セイレーンの楽器”と呼ばれる楽器が一つ手に入ります。

 

フクロウの導きのもと、この「ダンジョン攻略→ボス撃破→楽器入手」の流れを計8回繰り返した末に、

島を脱出すべくかぜのさかなと呼ばれる生物を目覚めさせる事が、このゲームの目的となります。

 

 

メーベの村に戻ると、

何やら子供達が駆け寄ってきて「マダムニャンニャンの家のワンワンがさらわれた」らしい事を伝えられるので、

奪還しに向かうというイベントが発生。

 

そうして、同行キャラクターとなったワンワンの力により、

沼地の植物をどかせられるようになって、次なるダンジョンへの道が開かれます。

 

 

このように、一時的に同行するキャラクターが数名用意されているのも、

本作における、印象的な部分でしょう。

 

 

また、メーベの村の赤ちゃんと、ゲームセンターを起点として開始する、

次々と物々交換が行われていく、いわゆる「わらしべイベント」の数々も、本作を代表する要素であり、

ゲームの進行(クリア)には必須となる為、冒険と同時にこなしていく必要があります。

 

 

レベル2ダンジョン「ツボのどうくつ」では、

岩やツボを持ち上げられるようになる”パワーブレスレット”が手に入り、

そこのボス「ツボ魔王」との戦いでは、早速その効力を活かして戦う事になります。

 

以降のダンジョンでも、このように「そのダンジョンで入手したアイテムの効力を活かして、ボスと戦う」という展開が度々繰り広げられ、プレイヤーを唸らせます。

 

 

その後、カナレット城という場所で”黄金の葉っぱ”を5枚集めて鍵を入手し、続くレベル3ダンジョン「カギのあなぐら」を攻略すると、

次の目的地となる「ヤーナ砂漠」の手前で寝てしまっているセイウチを起こすべく、マリンの歌声を求めて同行を頼む為、彼女を探した後に、

↑の画像の、砂浜で一時たわむれるイベントが発生。

 

本作を代表する、プレイヤーの心に残る一大イベントと呼べるでしょう。

 

(また、本シリーズではかなり珍しい、

その作品におけるヒロインキャラとの直接的な交流を描いた、稀有なシーンでもあるようです。)

 

 

次なるレベル4ダンジョン「アングラーのたきツボ」は、

目の前でその入り口を出現させるも、まだ水辺に入れない為に、そこまで行く方法を模索するという作りになっており、

肝心の水辺に入れるようになるアイテム”アングラーの水かき”は、このダンジョン内に置かれているという事も含めて、

ここ近辺の流れは、作中でも特に印象に残っている箇所です。

 

 

アングラーのたきツボを攻略して、しばらくマップを移動していると、

突然、変なSEと共に「謎の幽霊」に取り憑かれ、この状態だとダンジョンに入る事ができなくなるので、これが当時はかなりイヤだった記憶があります。

 

解決する為には、生前の彼の住まいである、↑の画像の「入り江の家」に立ち寄った後、

墓地エリアにて一つだけ離れた所にある、彼の墓石に連れて行って成仏させる必要があります。

 

 

私にとっては、単なるイヤなイベントでしかありませんでしたが、

それ故に印象的なシーンとなっています。

 

 

そうして訪れる、次なるレベル5ダンジョン「ナマズのおおぐち」

 

ここからは、それまで静けさを漂わせていたダンジョン内部のBGMが、

禍々しさを醸し出した曲調のものへと変化し、謎解きの難易度も上昇して、

「ゲームは、ここからが本番・・・!」という気分にさせられます。

 

 

そして、このダンジョン以降、謎解き面での手応えが増すだけに留まらず、

撃破後のボスの口から、何やら不穏な内容が語られ始めます。

 

 

次なるダンジョンを出現させる為、その鍵を入手する為に訪れる「古代遺跡」では、

 

「コレニ フレシ モノニツグ コホリントハ シマニ アラズ

 ソラ ウミ ヤマ ヒト マモノ ミナ スベテ ツクリモノナリ

 

 カゼノサカナノ ミテイル ユメ ノ セカイ ナリ

 カゼノサカナ メザメル トキ コホリントハ アワ ト ナル

 

 ワレ ナガレツキシ モノニ シンジツ ヲ ツタエル」

 

という、衝撃的な内容が書かれた、↑の画像の石板を目にする事に。

 

 

この際の、奇妙かつ寂しげなBGMも相まって、

独特な印象と共に、プレイヤーの心に大きな影を落とします。

 

(ちなみに、もう少し早い段階で訪れる事も可能です。)

 

 

しかし、だからと言って、

リンク・・・すなわちプレイヤーは、その歩みを止めるわけにはいきません。

 

レベル6ダンジョン「かおのしんでん」を攻略すると、

またも、そこのボスから悲痛な真実を聞かされます。

 

 

急にシリアスになっていくストーリーに比例するかのように、

 

レベル7ダンジョン「オオワシのとう」に向かう段階では、

「空飛ぶニワトリ」を復活させて、山脈の洞窟内を飛んで進むというシーン、

 

レベル8ダンジョン「カメイワ」に向かう段階では、

ヒロインのマリンが怪物によってさらわれ、助けを求めてうずくまっているイベントと、

 

ゲーム的にも、終盤感を与える展開が用意されており、

「このゲームも、いよいよ終わりに近付いている・・・」という気分にさせられます。

 

 

かなりの長丁場となる、最後のダンジョン(カメイワ)を突破すると、

そこのボス「デグフレム」の口から、

 

「キサマが来なければ 何も、変わらぬものを・・・」

かぜのさかなは、キサマには 起こす事はできぬっ!」

と、遂にはリンクを悪党かのように指し示した言葉が投げかけられます。

 

 

それでも、リンクには「島からの脱出」

プレイヤーには「このゲームのクリア」という目的がある以上、

 

その結末へと向かう為に、集めた8つの”セイレーンの楽器”

マリンから教えてもらったかぜのさかなの歌」

そして、それを奏でる”オカリナ”を手に、

 

かぜのさかなが眠っているとされる、

「聖なるタマゴ」の入り口を開きます。

 

 

内部は無限回廊となっている為、

わらしべイベントを完遂させて手に入れた”見通しレンズ”のもと、

メーベの村の図書館にある書物にて、その正しい道順を目にしておく必要があります。

 

(何らかの手段で道順だけを知っていたとしても、

見通しレンズの取得、もしくはその上で書物を調べる事がゲーム進行のフラグとなっているらしく、

これを未達成の状態では、先に進めなかった記憶があります。)

 

 

無限回廊を突破した、聖なるタマゴの最奥では、

 

「我らは 悪夢の中より生まれ出でし者」

「夢という閉ざされた世界に秩序を築くが為、かぜのさかなに永遠の眠りを与えた」

「我々こそ 神なのだ!」

と語る者、”悪夢”とのラストバトルが待ち受けており、

 

その姿を「アグニム」ガノン等、様々な様相へと変化させながら襲い掛かってくるので、

こちらも、今までに手に入れたアイテムや戦法を総動員させて挑む事になります。

 

 

この戦いを制し、「消えてしまう…壊れてしまう 我らの島が 我らの世界が」

・・・と言いながら消滅していく”悪夢”の最期を見届けた後、

 

出現した階段を上った先にて、

フクロウから「かぜのさかなの心の一つだった」という、己の正体や役目についてを明かされた後、

 

遂にかぜのさかなとご対面。

 

 

「夢は覚めるもの それが、自然のさだめなのだ

 私が目覚めると、コホリント島は消えるだろう」

 

「しかし、この島の思い出は 現実として、心に残る

 そして…キミはいつか この島を思い出すだろう」

 

「この思い出こそ、本当の夢の世界では、ないだろうか」

 

と、並々ならぬメッセージ性を持った言葉が語られた後・・・

 

 

「時は満ちた! 共に目覚めよう!!

 さあ! 奏でるのだ! 目覚めの歌を!」と告げられ、

 

再度、集めた8つの”セイレ-ンの楽器”と共に、

かぜのさかなの歌」を奏でるリンク。

 

 

メーベの村の、ワンワンやキツネ達。キャッチボールする子供達。

 

浜辺のモンスター達。

 

迷いの森にて、キノコを手にして喜ぶタリン。

 

そして、広場で歌うマリン・・・。

 

 

 

それらの情景が、次々と映し出された後、

 

コホリント島は、跡形もなく消えてしまった。

 

 

その後、水流によって打ち上げられたと思った次の瞬間、

リンクは船の瓦礫にしがみついて、大海原を漂っていた。

 

 

全ては、自分の夢だったのだろうか。

そのような面持ちで、瓦礫に腰かけて、しばし呆然とするリンク。

 

 

しかし、突如として、

彼の身体を大きな影が覆い、

 

空を見上げると、そこには・・・

 

 

悠然と宙を舞う、

 

かぜのさかなの姿が・・・ ・・・!!!!

 

 

・・・と、いった結末をもって、物語は終了。

海を漂うリンクの背中を映しつつ、スタッフロールとなります。

 

 

ご覧になられた通り、

本作は、この「勧善懲悪でない物語」「切ない結末」によって評価されている印象が強く、

私としても、ストーリーが特筆すべき点である事は間違いないのですが、

 

個人的に、私の中での本作の評価が高い理由としては、

「白黒ゲームボーイソフトという媒体に、ゼルダの伝説を落とし込んでいるが故のコンパクトさ」が第一にあって、

「フクロウや、うるりらじいさんによるヒントの多さ」「ダンジョン攻略の合間に挟まってくる、印象的なイベントの数々や一時期な同行者の存在」により、

ゲームクリアまでプレイヤーの興味を持続させるアイデアが、親切丁寧に施されている点にあります。

 

(事実として、飽きっぽい私が唯一クリアまで辿り着いた”ゼルダが本作なのです。)

 

 

また、上記までに挙げていない、

本作における印象的な要素をザッと列挙すると、

 

・各地に散らばる”ハートのかけら””秘密の貝殻”の収集

・専用BGMを持ち、地味に何度も挑戦したくなるミニゲーム「急流くだり」

魔法の粉・爆弾・弓矢の所持上限数を増やしてくれる隠しキャラの存在

・わらしべイベントを完遂させた副次的なご褒美である、隠しアイテム”ブーメラン”の存在

といった、ゲーム的なやり込み要素から、

 

・メーベの村にいるニワトリを斬りまくると、大量のニワトリが空を飛んで襲ってくる

・マリンを連れて村のゲームセンターに行くと、彼女が凄腕を披露して「店主」をGETする(マリン関連には、他にも小ネタ多数)

・レベル7ダンジョンには、雑魚敵として「カービィ」が出現する

・とある人魚にある事をした際のセリフ「キャーッ! エッチ! エッチー!」

 

・新たにゲームを開始する際、名前を「ぜるだ」とたけけにすると、

 ここでしか聞けない、二種類の専用BGMが流れる

 

・メーベの村の道具屋にて万引きを行う事ができ、成功するとアイテムがタダで手に入るが、

 以後ずっと「どろぼー」と呼ばれる他、再び訪れると店主にビームで殺害される

 

・初期版のみ、マップ移動時に画面の切り替わりと同時にセレクトを押して全体マップを表示する事で、リンクが一画面分ワープする”スクロールバグ”と呼ばれる裏技があり、

 それを利用して三名の同行者を全員連れてのプレイも可能になるが、セーブして再開すると表示がバグってグチャグチャになったキャラが付いて来る

 

・・・等々、非常に強烈かつカオスなものまで、多数存在します。

 

 

 

ともかくとして、本作はその高い完成度と切ないストーリー、

そしてゲーム的な面白さと、仕様とバグがごちゃ混ぜになった印象的な要素の数々から、

我が家に数多く存在した白黒ゲームボーイソフトの中だけでなく、

私がプレイしてきた全てのゲームの中でも、確たる存在感を保ち続けている作品の一つである事に、なんら疑う余地はありません。

 

 

~~その内容の優秀さから、

1998年にゲームボーイカラー版、2019年にSwitch版と、二種類のリメイクが発売されている他、

2021年11月には、白黒ゲームボーイ版を収録した「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」なる物が登場していたり、

2023年2月より「Switch Online」にてゲームボーイカラー版が配信されている等、

プレイできる手段や形態は、当時と比べて非常に多岐に渡る本作。

 

ゲームとしての面白さと秀逸なストーリーを両立しており、

クリアまでに必要な時間も10時間前後と、コンパクトな長さに収めた良作として、

未プレイの方には、是非とも一度は体験してみて頂きたい、万人にオススメできる”ゼルダの伝説”であると思います。