「ドンキーコング」恋人ポリーンを追ってどこまでも!大スペクタクルな最終決戦が待ち受ける、アクションパズルの隠れた秀作
”ドンキーコング”のゲームと言えば、
スーファミにて展開された、横スクロールアクション三部作が有名だと思われますが、
私の中で「ドンキーと名の付くゲームと言えば、誰が何と言おうとこのゲーム」と、
いまだ印象深く、心の奥底に残り続けている作品が存在します。
それが、今回ご紹介する、
発売は1994年6月。
この作品は、我が家にあったゲームソフトのうちの一つではなく、
小学校2~3年生ぐらいの頃に、友人S君がその従兄弟から借りていた事で、プレイする機会がありました。
まず、カセットに貼られていた、↑の画像の
「恋人をドンキーに担いでさらわれ、マリオが怒りを露わにして追いかけている絵」
から、かなり強烈な印象を受けましたね。
あの温厚なマリオが、こんなにも”頭から湯気を出す程に怒り狂い、ハンマーを振り回して大暴れしている”ようなイラストというのも、
そうそうお目にかかれない物なのではないでしょうか。
(ちなみに、このドンキーはSFCのシリーズ作や「スマブラ」等で知られているドンキーとは別人で、
その前代にあたる存在のようです。)
ジャンルとしては、”アクションパズル”に分類されますが、
まずは「25m」「50m」「75m」「100m」からなる、
単純なアクションゲームとしての趣が強い、全4ステージのプロローグ面をこなす事になります。
(マリオのアクションには、↓を押しながらジャンプで「(落ちてくるタルをキャッチできる)逆立ち」、
「逆立ち」からテンポ良く二回ジャンプする事で、通常よりも高いジャンプを行う「三段ジャンプ」、
進行方向と逆に押しながらのジャンプで、同じく通常よりも高い「バック宙返り」などがあり、
クリアに必須ではないものの、最初から全て実行可能な事から、自由度の高い操作性とアドリブ性を実現しています。)
プロローグ面をクリアすると、マリオの恋人「ポリーン」を肩に担いだドンキーが、
どんどんと地平線の彼方へ逃げて行く・・・というストーリーが展開され始め、
本編開始となります。
また、↑の画像のようなデモシーンは、以降ステージを4つクリアする毎に挟まり、
各ステージクリア時の残りタイム合計に応じて残機アップがなされる他、
有効なアクションやテクニック、新たに登場するギミック等を紹介する役割も兼ねており、
この最中の「ドンキーを追って、どこまでも行く」と言った感じの印象的なBGMも相まって、
プレイヤーの使命感とテンションを持続する役目を担っています。
そうして始まる、最初のエリア「都会」ステージ。
ここからは、ステージ中のどこかに置かれている「鍵」を持ち上げて運び、
鍵穴の付いた扉まで行く事によってクリアという形式になり、
”アクションパズル”としての様相を呈してきます。
また、ステージ中には「傘」「帽子」「バッグ」からなる得点アイテムも点在しており、
それら三つを全て取得してクリアする事で、「スロット」か「ルーレット」形式による
残機アップのミニゲームが発生します。
ただ、普通にゲームを進行していくだけでも、
デモシーンにおける、残りタイム合計に応じた残機アップ数がかなりの量にのぼる為、
この二つのミニゲームによる恩恵は薄かったりもするのですが。
4の倍数面のステージは、「ドンキーステージ」となっており、
Aボタンを押して選択すると、
「デ~~レレ~↑レ~↓ デ~~~レ~↑♪」と鳴った後・・・
エリア中間のステージの場合は、
ドンキーが地響きによって落としてくる障害物を避けつつ、ドンキーのもとまで向かう形式、
エリア最後のステージの場合は、
ドンキーが投げてくるタルを持ち上げて、ドンキーに三回ぶつけて倒すという形式による、
ドンキーとの直接対決が繰り広げられます。
これが、4ステージ毎という頻度で行われるのですから、
プレイヤー側も長丁場である事をあまり感じさせられず、ゲームに没頭し続ける事が出来るというわけですね。
こうして、多種多様なギミックや敵キャラ達が続々と登場してくる、
「森」「船」「ジャングル」「砂漠」「飛行機」「氷山」「岩山」といった、
様々な場所を駆け巡り、度々ドンキーとの直接対決もしつつ、
恋人「ポリーン」を奪還すべく、マリオの大冒険が繰り広げられて行くのです。
そうして辿り着いた、冒険の果て。
エリア9の「塔」においては、その全ステージが
「デ~~レレ~↑レ~↓ デ~~~レ~↑♪」(ドンキーステージ)
であり、否が応でも、プレイヤーにクライマックス感を与えます。
その4ステージ目にて、
物語の中盤からドンキーに加勢し、マリオを邪魔してきていた「ドンキーコングJr.」を、
檻に閉じ込めて、その動きを封じるという展開に。
それでも逃走を続けるドンキーを追いかけて挑む事になる、
続くSTAGE「9-5」~「9-7」では、
「この物語も、あと一息。いよいよ最終局面だ!!」
と言った感じの、プレイヤーの気持ちを大きく盛り上げる、非常に緊迫感溢れるBGMが流れ、
当時から長い間、ずっと再プレイしていなかったにも関わらず、私の脳裏に残り続けていました。
そして遂に、塔の最上階、
STAGE「9-8」にて、ドンキーとのラストバトル!!
”人対ゴリラ”というシチュエーションとは到底思えない、渋くて切なめのBGMと共に、
長旅の果てに恋人を救出せんと、最後の決戦が行われます。
この戦いに勝つと、
「やっと、助ける事が出来たよ・・・!!」
という祝福的な音楽と共に、助け出したポリーンと対面し・・・
ドンキーは、崩れゆく塔の破片と共に、地上へと真っ逆さま。
これで、とうとうヤツとの追いかけっこにも終止符。
・・・しかし、これまで通り、
残りタイム合計に応じた残機アップがなされます。
ステージ選択画面に戻り、
そこには新たにSTAGE「9-9」の文字が。
Aボタンを押すと、塔の最上階に描かれていたドンキーの顔が不敵に「ニヤリ」と笑うと同時に、
「デ~~レレ~↑レ~↓ デ~~~レ~↑♪」と鳴り・・・
見つめ合っていたマリオとポリーンを再び引き裂くかのように、
大きな衝撃と共に幾多の足場(とポリーン)が吹っ飛び、
床に叩きつけられるマリオ。
それと同時に、塔の遥か下から「スーパーキノコ」が散乱し、
何やら、パワーアップする音が鳴り響きます。
・・・ そして・・・ ・・・
「デ~~ンデデン↑デン↓ デ~~~レェ~~↑♪」
ドンキーとのラストバトル、
第2ラウンド開始・・・!!!
当時、この最終決戦には、本当に度肝を抜かれましたね。
その時の場の状況としては、
S君から本作を彼の”初代ゲームボーイ”ごと借りて、休日の午後に我が家で彼と共にプレイしていたのですが、
確か外は台風の影響でどしゃ降りの雨の中、このエリア9以降をプレイしていたので、
ただでさえ迫力抜群のこのバトルが、より一層の大スペクタクルとなって、
当時小学校2~3年生頃の私に襲い掛かってきたので、
後にも先にもない、異様なテンションで挑んでいたのを覚えています。
S君はアクションゲームがあまり得意ではないので、
ここまで来ると、彼はもう見ているだけの役割だったので、
私がドンキーを倒さなくては、このゲームのクリアは成りませんでしたから。
この正真正銘のラストバトルを制すると、
「今度こそ、やっと本当に、終わったね・・・!!」
という更に祝福的な音楽と共に、再びポリーンとご対面。
その直後、場面は地上へと移り変わり、
マリオがポリーンから受け取ったスーパーキノコで大きくなった瞬間、
ドンキーが上から落ちてきて潰されたかと思われるも、軽々と持ち上げ、
「HELP!!」と叫ぶドンキーのもとへ、Jr.が駆け寄る・・・といったところで、
物語は終幕となり、スタッフロールが流れます。
・・・さて、お気付きの通り、
本作のゲーム性としての大部分を占めるはずの”アクションパズル”の過程は全てすっ飛ばして、
エリア9以降の展開、とりわけラストバトルの流れについてのみピックアップして紹介しましたが、
上でも述べた通り、私の心と脳裏にこの作品が残り続けていた一番の要因は、
やはり、その大スペクタクルな最終決戦にあったわけですので、
このような形式の紹介となりました。
当時にS君と共にクリアして以降、長らく再プレイの機会がなかった本作ですが、
近年になってから、ふと思い出して中古でソフトを買い、ゲーム互換機の”レトロフリーク”にて通しで再プレイしてみたのですが、
当時はかなりの大長編に感じていたボリュームも、ステージ構成が一画面のみに収まっているステージも割と多くて、
意外にもテンポが良く、サクサクと最後まで行けましたね。
(GBソフトをSFCで遊べて、特定のタイトルは色彩が増す「スーパーゲームボーイ」にも対応しており、
”レトロフリーク”にて同設定で遊ぶ事ができるのもウリですが、その場合は一部の音声が再現できずに無音となってしまいます。)
明確な詰まり所になるようなステージも(個人的には)特になく、
早いうちから残機が99機カンストする親切設計である事も合わさって、
万人にオススメできるバランス調整が施された、良質なアクションパズルに仕上がっていると思います。
~~白黒ゲームボーイ登場から5年以上が経過し、ゲーム機本体の旬が過ぎた頃に発売された為か、
その出来に反して、ネット上での知名度や反響が少ないイメージがある本作。
ですが、任天堂お得意のハイクオリティさと親切さ、そして遊び応えを誇っており、
最終盤にて、きっちりと盛り上げてくるゲーム展開も用意されている事から、
今の時代でも充分にプレイに耐え得る、GBにおける隠れた名作アクションゲームであると言えるでしょう。