「雀卓ボーイ」麻雀ゲーム史上最高峰であろう対局BGMを誇る、素朴でありながらも毅然と輝く麻雀ゲーム
ゲーム内における”音楽”という要素は、
総じて、その作品の面白さや印象を大きく決定付ける程の、大きな役割と存在感を持っています。
少なくとも、私はそう思っており、
これまでに取り上げたゲームタイトルの記事の中でも、
たびたび音楽の要素について絶賛してきましたし、今後もそうするでしょう。
ですが、今回ご紹介する作品は、
本当に”作中のただ一つのBGMが神懸かり的だった”という理由だけで、
本来、子供の頃の私には”興味の持ちようがないジャンル”であったにも関わらず、
強烈に興味を抱かせ、また熱中させたという出来事を持つ、異色な作品となります。
その名は「雀卓ボーイ」。
白黒ゲームボーイにて、1992年1月に発売された”麻雀ゲーム”となります。
奇しくも、以前に紹介した、
同じく白黒ゲームボーイの名作アクションゲーム「バイオニックコマンドー」と同じ年に登場していたのですね。
電源を付けると、↑の画像のシンプルなタイトル画面と共に、
心躍る”中華風のBGM”が流れ、プレイヤーを楽しげな麻雀の世界へと誘ってくれます。
遊べるモードは、
CPUを相手に全8戦を勝ち抜く「カチヌキセン」、(”パスワード方式”によるセーブ機能付き)
プレイヤー一人とCPU三人で対局を行う「1P フリー対局」、
本体とソフトを人数分用意する事で複数人プレイが可能な「2P VS」「MULTI」からなりますが、
当然、複数の本体やソフトが我が家にあったわけではないので、
プレイできるモードは、上二つだけでした。
「カチヌキセン」モードにて、「さいしょからやる」を選択すると、
”ワクワク感・挑戦感を煽るBGM”と共に、”勝ち抜き戦 第1回戦”と表示された後、
サイコロを振って親決めがなされます。
次に、対局メンバーとご対面。
メンツは固定で、主人公キャラは何故か↑の女性キャラに設定されています。
そして、「ズラズラズラッ」と配牌がなされた後、麻雀を打っていく事になるのですが、
最初に述べた通り、本作の一番のセールスポイントとしては、
”対局中のBGM”が、ただひたすらに名曲。
この一点に尽きます。
私にとっての本作の魅力の9.5割ぐらいは、この対局BGMが占めています。
どんな曲なのかと言うと、
とにかく、底抜けに明るく、楽しげである事。
1ループ”約40秒足らず”と、短いメロディーでありながらも、
「麻雀は楽しいんだ!
とにかく楽しくて、たまらないものなんだぞ!」
とでも言わんばかりに、ひたすらにノリが良く、夢見心地な気分にさせられる曲調で、
それでいて”麻雀っぽさ”も不思議と存分に感じさせられるという、
非常に魅力的かつ魅惑的な一曲に仕上がっているのです。
一番最初に、私がこのBGMを聞いた時の状況としては、
小学校低学年の頃に、兄がプレイしているのを横で見ていた時だったと思うのですが、
このBGMだけで大いに興味をそそられ、「自分もやってみたい!」という気持ちが強烈に湧き上がった事を、今でも覚えている程ですからね。
その後、今に至るまでに、
GBAやDS・3DS、WiiU等で数本の麻雀ゲームをプレイしてきましたが、
本作の対局BGMを超える・・・それどころか肉薄するBGMにすら出会っていませんし、今後も出会う事は決してないだろうと断言できます。
それほどまでに、
”麻雀ゲームの対局BGMと言えば、白黒ゲームボーイの「雀卓ボーイ」の曲だ”
という不動の認識を、私の心と脳内にて、永久に確立し続けています。
(対局BGMほどではないですが、”リーチ時”のBGMもまた秀逸で、
ワクワク感とスリル感が高い次元で絶妙に入り混じった、怪しげなメロディーながらも高揚感溢れる名曲となっています。)
麻雀のルールは、兄が購入して持っていた、↑の画像の書籍。
「ニャロメのおもしろ麻雀入門」
(「赤塚 不二夫」著 池田書店 1986/4/1)
によって覚えました。
本作「雀卓ボーイ」と共に、セットで私の記憶に残っていた名著であり、
天才雀士「ニャロメ」によって、「バカボンのパパ」「バカボン」「おそ松」「チビ太」らが麻雀を教わるという話作りのもと、
非常にわかりやすく、麻雀の基本ルールや心構え、テクニックについての知識を学べる内容となっています。
表紙をめくると、まず↑のように、
横長の「あがり役一覧表」が付いており、
これを眺めながら本作をプレイしつつ、役を覚えていったものです。
(折り目部分の裏側には、破れないようにセロテープを貼って補強もしていましたね。)
本の中身も、率直に言って非常に面白く、ユニークな内容となっている事から、
紹介したい部分は数あれど、その中のただ1ページだけをご紹介させて頂くと、
↑の画像の”125ページ”にて語られている、
「最も出来やすい役満は
という内容は、その当時から今まで、私の頭に強烈に叩き込まれており、
一度たりとも忘れた事がない程の知識となっています。
(現代ですと、「四アンコ」が最も発生確率が高い役満となっていて、「国士無双」はそれに次ぐ形となっているようです。)
これ以外にも、全編通して非常に丁寧かつ親切に麻雀の各知識が解説されている他、
終盤には、裏ドラの恐ろしさを描いた恐怖の地獄編、(謎にトラウマチックです)
むやみにポン・チー・カンをすると泣きを見る事を説いた劇画調編などが収録されており、
漫画的にも見応えがあり、高校生の時には友人数名とも一緒に閲覧するぐらい、長きに渡って何度も何度も読み返していました。
(調べてみたところ、その内容の優秀さから、2022年9月に復刻版も発売されている模様です。
もし、麻雀入門用としての良書を探しておられる方は、是非とも、お手に取ってみてはいかがでしょうか。)
ゲームの話に戻りますが、
上がれる状況になったら、Bボタンを押して「ロン」!
(もしくは「ツモ」!)
すると、ご褒美感(?)に満ちた”幸せなBGM”と共に、
上がり役と点数が表示された画面になります。
この瞬間がたまらないんだよね・・・ ・・・!!
(↑の画像の、”数牌いずれか一種類+字牌”という形式の役「ホンイツ(混一色)」は、
高い点数になりやすい役の割には、比較的にポンやチーを絡めた力技でも持っていきやすく、
昔から今に至るまで、私の好きな麻雀役の一つとなっています。)
・・・と、本作を語るには、上記までの要素だけで事足りてしまう話なのですが、
それでも、”対局BGMの神っぷり”によって、
確かに私の記憶と心に残り続けていたゲームのうちの一つに数えられる、
「雀卓ボーイ」について、ご紹介させて頂きました。
BGMの要素を抜きにして、一つの麻雀ゲームとして見た場合には、
特にこれと言って偏りやすい役や、CPUがイカサマしている感じなどもなく、
そつなく手堅く作られた、小粒な作品といった感じでしょうか。
・・・いえ、正直なところ、
詳細にレビューできる程には、本作をそこまでやり込んではいません。
長丁場である勝ち抜き戦も、最後まではプレイしておらず、第3~4回戦くらいで断念しています。
ですが、やはりその”至高の対局BGM”によって、
私を「麻雀」という一つのゲームの世界へと誘い込んだ功績は計り知れないものがあり、
このゲームが我が家に無かったとすれば、私はきっと麻雀に興味を持つ事もなければ、ルールを覚えようともしなかったであろう事を考えると、
私の中での本作は、決してその存在を見過ごせない、
確たる”名作ゲーム”の一つとして君臨し続けている事は、紛れもない事実なのです。
さすがに、今となってはより快適で、刺激や中毒性の高い麻雀ゲームは山ほどあるでしょうから、
「今の時代にも本作をプレイしてみては」・・・という、いつものような締め括りはできませんが、
それでも、YouTube等で本作の対局BGMを一度は聞いてみて頂きたいと思っております。
私の言わんとする事が、きっと伝わるハズです。
(勿論、感性や感覚は人それぞれでしょうから、あまりピンとこなかったら申し訳ありませんが。)
ちなみに、パッケージやゲームカセットの中央に大きく描かれている、
この(↑)”強キャラ感”溢れる人物は・・・
ゲーム中には、一切登場しません。
~完~