「レッキングクルー’98」マリオ達の操作を介してブロックを消し合う、任天堂独自のセンスで味付けされた対戦型落ち物パズル!
昔から今まで一定の人気を保ち続けている、”落ち物パズル”というゲームジャンル。
私も、子供の頃に遊ぶ機会がありつつ、
独自のセンスによって仕上げられていた、印象深い作品が一つ存在しました。
それが、今回ご紹介する、
「レッキングクルー’98」です。
スーパーファミコンにて、1998年1月に発売。
当時、コンビニの”ローソン”にて様々なゲームソフトを書き換えて遊べる「SFメモリカセット」という物があり、
兄がそれを利用して、色々なゲームを二本ずつプレイしていたのですが、
最終的に、そのカセットに入ったままになっていたのが、この作品でした。
(もう一つは「トルネコの大冒険」でした。)
ゲームを起動させると、
まず、ファミコン版の「レッキングクルー」か「’98」を選択する画面が表示され、
「’98」を選ぶ事で、↑のタイトル画面になります。
ジャンルとしては、”落ち物パズル”に分類されるのでしょうが、
・Bボタンでジャンプ
・AまたはYボタンでハンマーを振って、後ろのブロックを叩き壊す
・Xボタンで横一列分のブロックを上から落とす
・端にある”ハンドル”の前にてAまたはYで、その列のブロックを一個分中央側にスライドさせる
という操作方法を用いて、ブロックを移動したり消したりするのに、
アクションゲームの要領で、
操作キャラクターを介入する必要があるという点で、
その他大多数の落ち物パズルとは一線を画した、独自性の強い作りとなっています。
各色のブロックは、縦横に3つ以上並べる事で消す事が出来ますが、
4つ以上同時に消す事で、相手に攻撃を行う事ができ、それぞれの色が
・赤色=一定時間画面内を徘徊する”お邪魔キャラクター”を、画面上部の土管から出現させる
・青色=消した場所に応じて、ブロックを下からせり上げる
・黄色=爆弾ブロックを叩いた時の爆風でしか消せない”鉄板ブロック”を数枚落とす
・緑色=何列かのブロックを、一度叩いて他の色にする必要がある”白色ブロック”に変化させる
という効果となっており、
同時に消す数を増やしたり、連鎖を行う事によって、その効力も大きくなります。
(また、こちらに”お邪魔キャラクター”が一切いない状態で全てのブロックを消すと「NICE!」と表示され、
画面上部にキノコが現れますが、その状態で攻撃を行う事でも、通常よりも大きな効果となります。)
9段目以上にブロックが積み上がって、その状態で3秒経つと決着となる為、
お互いに攻撃を送り合って、それに瞬時に対応していく・・・というゲーム性となっています。
一見すると、様々な駆け引きや奥深さがあるようにも思えますが、連鎖を組んだり各種攻撃を使い分けるようなパズル的な戦略性などはあまりなく、
アクションゲームよろしく、とにかく操作キャラをせわしなく動かして、同色のブロックを4つ以上同時に、次々と消していく・・・というのが、実際のところの基本戦術となるでしょう。
そして、決まり手としては、大半の場合は↑の画像のように
黄色ブロックによって出現させた”鉄板ブロック”で、
相手フィールドを埋め尽くすという形になるかと思います。
そう、四種類の攻撃の中でも、とりわけ黄色ブロックの効力(というか爆弾ブロックでしか壊せない”鉄板ブロック”)が強過ぎて、
”赤色ブロックで大量のお邪魔を送り、相手がそれに当たって操作不能になっている間に、青色ブロックで下からブロックをせり上げて勝利!”というような綺麗な決着にはほとんどならず、
大半の場合は、泥仕合の果てに相手フィールドのほとんどを黒一色にして、どうにも出来なくさせて勝利する・・・という形に、どうしてもなってしまうのです。
ですが、「だからつまらない」と言うつもりは一切なくて、
むしろ、これだけ独創的なゲームデザインにも関わらず、任天堂らしい丁寧で良質なクオリティで仕上げられている為、
その”操作キャラをせわしなく動かして、同色のブロックをどんどん消していく”というそれ自体が、私は非常に楽しかったので、普通に傑作だと思っています。
”バカンスから帰って来たら、クッパが勝手に建てたアジト(ビル)がそこかしこに出現しており、日差しの良い世界を取り戻す為に、マリオが”秘伝のハンマー”を持って立ち上がる”
というお話が展開される「ストーリーモード」では、
”純朴な子供時代の、のどかな昼下がり”とでも言ったような雰囲気を形成したBGMと共に、↑の画像のマップによって進行していき、
途中からは、一定の制限時間内に勝利する事で、
”秘密のアジト”と称した場所にて隠しキャラと戦う事ができます。
その隠しキャラというのが、
・物言わず、膨らんで闘志を剥きだしにする「おにぎり」
・一人ぼっちだから遊び相手になって欲しいと言う、幽霊の「女の子」
・こんな冷たいビルではなく、温かいビルを建てたいのだと豪語する「おやじ」
・遠い昔に地球へとやって来て以来、眠っていたのを邪魔したからと言って襲ってくる「土偶」
・・・と、マリオのゲームにしては明らかに”頭のおかしい連中”が揃っており、
本作の独特さを大きく助長する要因となっています。
いえ、私は好きなんですけどね。
(「風来のシレン」以外で”おにぎりを操作できるゲーム”なんて、本作以外に知りませんし。)
そんな上述の隠しキャラのうち、「おやじ」と「土偶」に会う為には、
四人目の相手である「ブラッキー」を”2分以内”に倒さなければならず、本作の鬼門となっています。
普通に戦うと、ぶっちゃけ言って運任せなので、同色で
9個以上のブロックを同時に消すという事で発動する、
文字通りの必殺技を狙うと良いかもしれません。
成功すると、↑の画像のように
「”安全第一”と書かれた、
ヘルメットを被って腕組みしたクッパの看板」が、
相手フィールドにガスーーン!!と落ちて来て、問答無用で勝利となります。
全ての隠しキャラを倒した上で、ラスボスのクッパを倒すと、
どこからか湧いて出たルイージとピーチ(対戦モードにて使用可能)と喜びを分かち合った後、
クッパにバレて永遠に追いかけられる・・・という結末をもって解決となり、スタッフロールが流れます。
モード数的には、上記までの「ストーリーモード」の他は、
COM戦か対人戦、それと8人参加が可能な”トーナメントモード”を備えた「対戦モード」、
本作の遊び方を丁寧に説明する「ヘルプ」しかなく、少々物足りないかもしれませんが、
”落ち物パズル”を、任天堂の手腕によって”アクション要素強めの対戦ゲーム”として味付けして成立させた稀有なゲームという事で、
一時期、ひたすらやり込んでいた経験がある事から、私の頭と心に残り続けていた、好きなゲームの一つであった事には違いありません。
また、このゲームにハマっていた時、
その頃だけ一緒に遊んでいた、同級生のY君も本作を気に入ってくれて、
これをやる為だけに、何度か遊びに来てくれたという思い出もあります。
(それと、最初に述べた通り、ファミコン版の「レッキングクルー」もまるごと一本遊べてしまう為に、「’98」の息抜きに、そちらも時々プレイしていましたし、
4面分だけ保存できる”ステージエディット”の機能もあったので、それを使って凝ったステージを作って遊ぶのにハマったりもしていましたね。)
~~作風的にも、発売した時期や形式的にも、
おそらくマリオシリーズの中でも、かなり知名度が低い部類に入る作品だとは思うのですが、
私が子供の頃にハマっていた”パズルゲーム”としては、ほぼ唯一と言っても良い立場の本作。
かなり珍妙で、他に類を見ない味付けがなされた落ち物パズルではありますが、
興味が湧き、プレイする手段のある方は、是非一度体験してみてはいかがでしょうか。