「幽☆遊☆白書2 格闘の章」超霊撃のド迫力さが際立つ、幽白のオーソドックスな格闘ゲーム
ゲームの歴史において、漫画を原作とした作品は”キャラゲー”と呼ばれ、
総じて、良作と呼べる出来栄えのものは少ないという傾向にあるようです。
しかし、我が家のスーファミカセットの中には一つ、
原作を尊重した作りでありつつ、良質な格闘ゲームとして仕上げられたキャラゲーが存在しました。
それが、今回紹介する、「幽☆遊☆白書2 格闘の章」です。
本作は、90年代に絶大な人気を誇った少年ジャンプ漫画「幽遊白書」を題材とした、
オーソドックスな作りの2D対戦格闘ゲームです。
コンボの概念はほぼないものの、「ガコォン!!」「ビシィッ!!」と歯切れの良い打撃音や、
キャラクターに合わせたBGM、描き込まれたグラフィックなど、各要素のクオリティが高く、
登場キャラクターの必殺技も原作要素を尊重しており、ファンなら納得のいく出来栄えとなっています。
当時、漫画を集めていた姉が買ってきたゲームソフトであり、
まだ保育園児だった頃の私は、熱心にこのゲームを遊びすぎて、左手親指の皮が剥けてしまった事を覚えています。
「幽遊白書」という漫画自体が、高い面白さと知名度を誇る事もあって、
小学生の頃には、友人と遊ぶ際の対戦ゲームの一つとして盛り上がりましたし、
高難易度にした際のCPUの動きもしっかりとしていた事から、中学生になっても一人でたまにプレイするぐらい、長きに渡って遊び続けていました。
主要となるモードとして、
原作のストーリーに沿ってCPU戦を勝ち抜いていく「ストーリーモード」、
ランダムな順番(最後数戦は固定)で全キャラと戦う「大武術会モード」、
好きなキャラ同士で対人戦やCPU戦を行う「バトルモード」がある他、
「トレーニングモード」「サウンドモード」も用意されており、申し分ない作りです。
トレーニングモードが実装されているのは、なかなか珍しいのではないでしょうか。
本作の大きな評価点として、ストーリーモードの完成度が高い事が挙げられます。
原作における”暗黒武術会編”までの内容を、
ダイジェスト風味ながら、要点を押さえたテキスト進行と共に楽しむ事ができます。
また、主要な操作キャラとなる主人公「幽助」は、
飛び道具の「霊丸」に、対空技の「ショットガン」、しゃがみ強キック入力で使える「スライディング」と、
正統派な技が揃った扱いやすいキャラクターである事も、本作の遊びやすさに一役買っています。
各キャラの必殺技”霊撃”は、最初から全て使えるわけではなく、
原作を尊重して、ストーリーの進行に合わせて徐々に解放されていくという、凝った作りになっています。
(霊撃は青色の”霊力ゲージ”を消費して発動し、
カラになると一定量自動回復するまで使えなくなるので、バトルの駆け引き要素にもなっています。)
上記と合わせて、ゲーム開始時には幽助しか操作できなかったのが、
桑原、蔵馬、飛影戦までは、倒して以降は仲間として使用可能になるという、RPG的な面白さも味わえます。
(後述の”暗黒武術会編”まで進めると、もう一人加入します。)
このストーリーモードにおいて、超必殺技”超霊撃”は終盤になるまで習得しませんが、
敵側は早い段階から使ってくるようになるので、原作同様、強敵を相手に勝ち抜く感覚を味わえます。
↑の画像では、”四聖獣”のボス「朱雀」が超霊撃「七獄暗黒雷光波」を放っており、
このように超霊撃を放つと、気絶ゲージが一瞬で最大近くになり、
霊力ゲージがスーーーッとカラになっていくのと同時に繰り出されるので、
見た目と使用感覚の両面で非常に迫力があり、本作の目玉要素と言えるものとなっています。
(余談ですが、原作ではあまり語られる事のない”四聖獣編”ですが、「このゲームで朱雀が出ていた事から、朱雀だけはよく印象に残っている」・・・というのは、本作をプレイした人あるあるなのではないでしょうか。)
原作における因縁の相手「戸愚呂」を倒すと、話は”暗黒武術会編”へと突入していきますが、
己を鍛え直す為、幽助が再び「幻海師範」のもとを訪れると、そこには幻海の姿はなく、
代わりに謎の「覆面」戦士がおり、幻海に代わって修行(バトル)をする事になります。
これは、原作とは異なる展開(原作では普通に幻海が居る)であり、
ゲームの都合による改変だという事は承知の上ではありますが、以降の激闘に向けての雰囲気作りにも役立っていて、個人的に好きなシーンです。
(「覆面」の超霊撃「修の拳」は、自分の両端に光の柱を発生させた後、ガード不能の突進技を仕掛けるという強力な技で、本作トップクラスの性能を誇る技となっています。)
覆面を五人目の選手に加えて挑む、暗黒武術会の初戦の相手となるのは、六遊怪チームの「酎」。
「うぅわあ~~~~お!!!」と言って巨大なエネルギー球を投げてくる技「大妖気玉」の対処が難しい強敵で、子供の頃はよく負けた記憶があります。
必勝法としては、桑原を使って、霊撃の「首位打者剣」で打ち返しながら戦う事。
打ち返した玉をCPUは何故かガードしないので、完封勝ちする事ができます。
(それがまた楽しかったりもしたので、個人的には評価点の一つです。)
次なる「Dr.イチガキ」戦は、タイミング良くAボタンを一回押してフルボッコにするという、
スコア取得用のミニゲーム扱い。
若干謎な仕様ですが、印象には残ります。
その後、魔性使いチームの「陣」を倒し、準決勝へと駒を進めると、
決勝における戸愚呂との戦いに向けて、幽助が幻海から霊光波動を継承されるという、原作同様のイベントが発生。
これによって、準決勝の相手「死々若丸」は、幽助を欠いた四人(「覆面」は「幻海」と入れ替わります)の誰かで倒す必要があり、
今まで幽助ばかりを使っていると苦戦するハメになる為、ゲーム的にもメリハリが効いています。
準決勝に勝利した後、戸愚呂の手によって幻海が命を落とすイベントでは、
ここでしか使われない専用のBGMやグラフィックも用いられ、
最終決戦に向けて、プレイヤーの気分を大いに盛り立てます。
そして迎える決勝戦、戸愚呂とのラストバトル。
「小手調べだ」と言って登場する、80%形態の戸愚呂(通称”お風呂に入った後の戸愚呂”)は、以前戦った30%状態よりも一部の技が強化されており、
特に、地面を叩いて火柱を発生させる技が印象的です。
80%形態を倒すと、真のラスボス戦となる、戸愚呂100%との戦いに。
今までの敵とは一線を画す強さであり、特に超霊撃「フルパワータックル」は、
超威力と巨大な攻撃判定を持つ、ガード不可能の突進技という悪夢のような技で、
なるべくこれを出させない、もしくは出かかりを潰すように攻めまくって倒す事が求められます。
子供の頃は、ここまで来るのも一苦労、
来れても、まったく歯が立たずにやられてしまう事も多かったような気がしますね。
戸愚呂100%との激闘に勝利すると、暗黒武術会は浦飯チームの優勝によって幕を下ろし、
声の出演・スタッフロールを経た上で、(幻海も蘇って)↑の一枚絵と共にゲームクリアとなります。
通常では、黒背景にスタッフの名前が流れていくだけのスタッフロールですが、
スコア累計30万点以上でクリアすると、各キャラ達の専用グラフィックが表示されるようになるという、ちょっとした隠し要素もあったりします。
ストーリーモードを除く、大武術会モードや対戦モードなどでは、
タイトル画面で”↓↑ LLRR YXAY”と入力すると、「覆面」「少女幻海」「戸愚呂80%」「戸愚呂100%」が使用できるようになるという裏技もあって、豪華さを醸し出しており、
こうして見ると、なかなか的を得た人選なのではないでしょうか。
(幻海と戸愚呂のコンパチで五名を占めているとは言え、暗黒武術会編における師匠・ラスボスキャラである事を考えると、納得はいきます。)
当時、桑原が大好きな友人I君がいて、
彼がストーリーモードの戸愚呂100%を桑原の強キックだけで倒すという偉業を成し遂げ、皆で爆笑したり、
壊れ性能である戸愚呂100%をバトルモードでお互いに使って、2Pカラーの肌色の戸愚呂100%を見て爆笑したりと、
私にとって、子供時代の楽しい思い出が沢山詰まったゲームソフトです。
戸愚呂100%のみ、ラスボスとして作られた性能のままに使用できてしまう為、群を抜いた強さである事を除くと、
対戦ゲームとして普通に機能していましたし、ほぼ全キャラが”バックステップ”を使える事に加えて、一部のキャラクターは”ダッシュ”や”隠し技”を備えていて極め甲斐もある為、
単なるキャラゲーに留まらない、堅実かつ良質な格闘ゲームであったと思います。
・・・しかし、本作の魅力の大半はやはり、
”超霊撃”のド迫力さにあったと言えるでしょう。
というわけで、最後はメイン四人の超霊撃発動の画面と、
その掛け声によって、締め括りと致しましょう・・・!!
幽助「くらえ・・・ッ!!!」
桑原「おぉんりゃあぁ~~~~~~ッ!!!」
蔵馬「・・・・・・」(無言)
飛影「炎~~殺ッ・・・
黒龍波ァァァーーーーーーッッッッ!!!!!」