「びっくり熱血新記録!はるかなる金メダル」格闘要素を混ぜ込んだ、くにおくん達の過激なスポーツ大会!!
ファミコン時代に多数の人気作を生み出し、
その頃が全盛期だとも言われている「熱血硬派くにおくん」シリーズ。
私も小さい時に触れる機会があり、
その過激さと型破りな内容から、強烈な印象を残した作品が一つありました。
それが、「びっくり熱血新記録!はるかなる金メダル」です。
発売は1992年。
ファミコンも末期の頃で、シリーズ全体としては中期の作品にあたるようです。
(開発元が”テクノスジャパン”時代の話であり、後に版権を保持した”アークシステムワークス”によって、今でも移植やリメイク作品は出続けています。)
一般的には、くにおくんのゲームと言えば「それゆけ大運動会」という作品が有名で、そちらが代表作と言って差し支えないほどの大人気作でもあるようなのですが、
私が触れる機会のあった作品はこちらの方なので、”くにおくんの運動会”と聞いて連想するのは、こっちなんですよね。
この作品、もともと我が家にあったゲームではなくて、
ある時、姉が友人から借りてきた事がきっかけで、遊ぶ機会が訪れました。
ゲームを開始すると、「とうどうグループ」と呼ばれる会社の社長室が映され、
「テーテーテーテレテ~~↑ テレ テーテーテーテレテ~~↑」
と、クラシック曲の”四季・春”をアップテンポにアレンジした音楽が流れます。
これがね、子供の頃は凄いインパクトが強かったんです。
すぐに「なんだか特殊なゲームだな」って思いました。
印象に残るゲームには様々な仕掛けがあるものですが、
冒頭からクラシック曲を採用しているゲームなんて、そうそう無いんじゃないでしょうか。
すると、息子の「まもる」がドアをぶち破って入ってきて、
なにやら泣きながら、頼みがあると打ち明けます。
それと同時に、
「デデデデェ~~~~~~ッ↓・ デデデデェ~~~~~~ッ↓」
と、ベートーベンの”運命”を若干コミカルにした感じの音楽に切り替わります。
またもやクラシック。二連続でクラシック。
初見の人への印象付けにはバッチリです。凄い戦略です。
「とうどうまもる」の企みとは、再び独自のスポーツ大会を開いて、
くにお率いる”熱血高校”チームに大恥をかかせる事。
「前回の運動会(上述の”それゆけ大運動会”の事ですね)以来、くにおにいじめられている」と涙ながらに父親をだまし、専用のコロシアムを作ってもらったとうどうは、
「実力の違いってやつだな」と、意気揚々と大会を開くのでした。
そして、ゲームモードを選ぶのですが、通常の「ノーマルモード」に加えて、
全五種目の中から三種目を好きな順番に選んでプレイできる「ショートモード」、
どれか一つを好きなだけプレイできる「れんしゅうモード」も選べます。
ただ、この作品は、対決競技と個人競技を交互の順番で通しでプレイする「ノーマルモード」の完成度が圧倒的に高いので、その他の二つで遊ぶ事はあまりなかった記憶があります。
次に、使用するチームを選びます。
とは言っても、主人公の「くにお」が在籍するチーム「熱血」が、
あまりにも”プレイヤー専用のチーム”という印象が強過ぎて、
私はほとんど熱血でプレイしていました。
「花園」はライバル校ですし、「冷峰」は強力な選手を有する倒すべき敵、
「連合」も独自の脇役(実力は冷峰に次ぐ)と、それぞれの立ち位置がハッキリしていますからね。
また、エンディングを見るには「熱血」でクリアする必要もあるので、
やはり基本の遊び方としては、そのまま熱血チームを使ってプレイする事なのです。
チームを選んだら、各競技の前に出場選手を指定します。
ステータスは各キャラによって細かく決められており、上下の幅も割と広いです。
「熱血」は・・・見てわかる通り、
ほぼ主人公兼主将である「くにお」のワンマンチーム。
ヘタに使い分けするよりも、最初から最後までくにおくんだけで無双するのが、
割と最適解だったりします。
(昔は、どの競技にどの選手を出すのがオススメかと書かれている攻略サイトがあったものですが、今探してみても見当たりませんでした。)
選んだ選手は、マネージャーとデート 町をうろつき、
「ドラッグストアー」「アイテムショップ」「スポーツショップ」「じょうほうや」
に立ち寄って、体力やステータスを上昇させたり、戦いを有利にするアイテムを買ったり、
競技のルールや操作方法・テクニックを聞いたりする事ができます。
特に「スポーツショップ」に高値で売られているアイテムには、
バランスブレイカー級の効力を持っている物も。
用事が済んだら、画面左へと進む事で、いよいよ競技へ。
最初の種目は「400Mハードル」。
ハードルは、ジャンプで飛び越したりスライディングで下をくぐる他に、
タックルで壊してその破片を持って回転したり、前後にいる相手に投げつけて攻撃する事ができるので、こちらの駆け引きの方が主な要素となります。
加速は十字キーの右を連打する事で行い、”すばやさ”の高い選手ほど最高速までが短くなります。
(くにお以外の選手を出すなら、「すがた」か「いちじょう」が良いと思います。
「いちじょう」はかなり死にやすいですが。)
画面からフェードアウトした際は、↑の画像のようにクルクルと回転しながら戻ってくるのですが、そのままにしていると、ほぼ相手の”旋風脚”を食らって続けざまにフェードアウトしてしまうので、
十字キーの左を押して復帰位置を調整し、後方から逆転の機会を狙う事になります。
リードを奪うには、やはりハードルを壊してその破片をぶつける事が主な手段となる他、
こちらがリードしている際にも、相手と同様にジャンプ中にAボタンを押して旋風脚で妨害していく事が必須となるわけですが、そのタイミングが結構シビア。
ゴール手前の攻防だけであっさり順位が入れ替わる事もザラにあり、
何度プレイしても全く気が抜けない、面白い競技に仕上がっています。
え?最初っからやってる事がおかしいって?
そんなツッコミは、このゲームには野暮ってもんですよ。ハハハ。
二回勝ち進むと、決勝戦にて「オクラホマハイスクール」という、
外国人チームの選手と対決する事になります。
「とうどう」が助っ人として招いた最強のチームで、
その高い能力もさることながら、肌が茶色(そして輪郭も茶色)な事で
強敵感と威圧感がハンパではなく、戦っていて妙な緊張感と高揚感があります。
これ、子供の頃だからそう感じてたんだと思ってたんですけど、
今見ても強そうに感じますよね。
この、強敵「オクラホマ」との戦いに挑んで勝つ事が、
本作をプレイする上での一番の楽しみと言っても過言ではありません。
各競技が終わるごとに「メダル授与式」が行われ、
成績に応じてメダルが配られます。
メダルの総数によって最終的な順位を決定する他、ショップでの通貨も兼ねています。
なかなか斬新じゃないですかね?
その為、最初の「400Mハードル」で一位になる事ができれば、以降の種目は常に強力なアイテムを買って、一方的なゲーム展開を繰り広げていく事も可能なのです。
次の種目は、ハンマー投げとゴルフを融合させた「ハンマー投げゴルフ」。
Bボタンを連打して”POW”を溜め、限界ギリギリのところでAボタンを押してハンマーをなるべく遠くまでぶん投げるという、連打が命のゲームとなっています。
Aボタンを押すタイミングが遅いとずっこけたり、ハンマーごと自分も飛んでいったりして大幅なロスになってしまうので、タイミングの見極めも重要です。
また、投げる際には十字キーの上下で高さも調節できます。
ラクをしたい場合は、スポーツショップで「きりもみ」を買っておきましょう。
連打しなくてもPOWが最大まで溜まってくれるので、非常に強力です。
(実は必要なステータスは”ちから”ではなく”すばやさ”。
なので、くにお以外ならやはり「すがた」か「いちじょう」を出すべき。)
他の競技に比べると、ややハチャメチャさに欠ける面はありますが、
「連打ゲーム」であるという時点でインパクトはバッチリですし、
ハンマーを遥か上空にポーンと飛ばして、画面が凄い勢いで横にスクロールしていくのを眺めているのは、なかなかに爽快感があります。
「ゴルフと言うには、カップインの際には力を調節しないといけないのでは?」と思うかもしれませんが、カップの上まで来ると”見えない壁”によって垂直で落下したり、
ある程度近いところまで投げると異様に持続力のある転がりを見せて自動でカップインしてくれるので、気にせず連打を楽しむ事ができます。
また、十字キーの左右で、飛び方やバウンドの勢いを多少コントロールする事もでき、
あちこちに浮いているメダルを稼ぐのも有効です。
(実は、真面目に一位も狙うよりも、何手かかっても良いのでひたすらメダルを集める方が、遥かに効率が良いんだとか。)
自分のプレイが終わったら、次はCPU(好成績を収めた1チームだけ)のプレイを眺める事になります。
しばしの休憩タイムですね。
基本的に上手いプレイな事が多いですが、
何度も池ポチャするパターンもあったりして、結構笑えたりします。
そして中盤戦となる三種目目は、「水泳バトルロイヤル」。
物騒なその名の通り、個人的にこのゲームの名物だと思っている競技である事に加えて、
「花園」のライバル「りき」がここで登場してくるので、一位を取るには熾烈な戦いを制する必要があります。
(体力消費が激しい競技なので、くにおを安全に最後まで温存したい場合は、「すがた」の体力が減っていないなら彼、もしくは「ななせ」をアイテムで強化した状態で出しましょう。
もしくは、一定時間ごとに現れて、回避不能な攻撃を繰り出すアイテムの”ピラニア”を買っておくと、楽勝レベルで難易度が下がります。)
で、私がこのゲームに対して最も強烈な印象を抱く要因となった、この競技。
その理由はただ一言。
やってる事がひどい。ひどすぎる。
水面を泳ぐ相手にジャンプして腕組みしながら乗っかったり、
下から引っぱったりして水中に引きずり込み、
更に水中ではパンチやキックで追い打ちをかけ、息を吸わせないようにする事で
相手を溺死させた方が勝ち、というルールなのである。
すなわち、水泳なのにゴールを目指すのではなく、プールを舞台に殺し合いをする競技なわけで、
私は最初、兄が黙々とこれに熱中するのを見て、
「なんつーひどいゲームをやってるんだ・・・」
と思ったものです。
(空気が尽きてHPが減り始めたキャラは、しばらくバタバタともがいた後、ぐったりとして沈んでいくという動きを繰り返すところも、見ていて非常にむごい。)
と言いつつ、全体的なゲーム自体の完成度は高かったので、自分でもプレイしていましたし、直の殴り合いという事で「オクラホマ」との対決も作中で一番燃えるのですが、
それにしても、私のゲーム史上において”最も残酷的な事をやってたゲーム”は何かと聞かれると、この「水泳バトルロイヤル」な気がします。
後半戦となる四種目目は、数々のビルの屋上にて行われる「ビル越え棒高飛び」。
棒高跳びの要領で、ビルの屋上から屋上へと飛び移ってゴールを目指すという、充分めちゃくちゃな競技のハズですが、先ほどのプールでの殺し合いの後だと、随分と健全な競技のように感じます。
十字キーの右を連打して走る点は「400Mハードル」と同じですが、
こちらはBボタンの押し離しのタイミングによって行う棒ジャンプの方が、より大きなウェイトを占めています。
(くにお以外で挑むなら、「すがた」か「いちじょう」のHP残量が多い方で。
または、ほとんど使い道のない「もりもと」を出すならここ。)
ステージに置かれているのは、棒だけでなく”一輪車”もあり、
縄が張ってある部分は、これに乗って渡っていく事もできます。
ですが、走っていく最中に先の展開を次々と見極めて、棒と一輪車を的確に拾い分けて進んで行くのはなかなかに難しく、
縄が張ってある所でも棒ジャンプで無理矢理飛び越したり、また逆もしかりで、
なかなかにアドリブ性が高く、極め甲斐のある面白い競技です。
ギリギリで落ちかけても、タイミングよく十字キーの上を押す事でしがみ付く事ができ、
「うおおおっ!!! おおおおっっ!!!! おぉ~~~~~っ↓
(安堵)」
などと言いながらプレイする事で、見ている友達が笑ってくれるのが面白かったです。
(なんなら、今でも時々ゲーム互換機の”レトロフリーク”で遊びます。)
自分の番が終わったら、「ハンマー投げゴルフ」同様に、CPUのプレイを見る事になります。
そちら以上に、結構ミスる事も多いので見ものです。
大トリを飾る最後の競技は、あらゆる体術を用いて相手を倒す「はちゃめちゃ柔道」。
パンチやキック、飛び蹴り、体当たり等で立ち回り、
接近して組み合いの形になったら、Bボタンを連打して相手の気力を減らし、
減らした側が更にBを何度か押してからAを入力する事で技を選択し、
多種多様な大技を繰り出す・・・といったシステムです。
ここでは、高額の体力回復アイテムを買ってでも「くにお」に出場してもらいましょう。
彼の活躍なくして、この競技は語れません。
くにおの最高火力技である「火のたますぱいく」は、この競技における全技中最強の威力を誇り、
組み合いを制してこれを連発する事が最適解となります。
並み居る強敵を、何度でも火の玉にしては床に叩きつけて大ダメージを与えてゆくその姿は
まさに主将。我らがくにおくん。
スパイクする時の「トゥルルッ!!!」というSEもカッコイイ。
あの「オクラホマ」でさえも、この「火のたますぱいく」の前には無力です。
コツを掴むまでは若干難しいかもしれませんが、基本は遠くから飛び蹴りだけを繰り返し、気力を充分に減らしてから組み合いに持っていく事で、安定して繰り出し続ける事ができます。
この競技が終わったら、最終結果発表へ。
内容に応じて「個人賞」が与えられた後、表彰式が行われます。
ちなみに画面は、途中途中の「メダル授与式」のものと同じです。
「熱血」チームで晴れて優勝すると、エンディングに。
大会が終わり、「とうどう」の親父さんの元へと挨拶に来たくにおくん。
すると、息子の「まもる」が嘘をついて自分達にコロシアムの建設を頼んだのを、最初から見抜いていた事、あえて教育の為にもう一度だけ大会を開かせてあげたのだという事が語られます。
負けを認めた「とうどう」は、助っ人として呼んだ「オクラホマ」の選手にお別れの花束を渡し、
直後にやって来たくにおくんの懐の広さに感銘を受け、彼ともついに友情が・・・
・・・と思いきや、なんとその花束はゴミ箱に捨てられており・・・
成立しかけた友情はすぐに決裂、仲良く追いかけっこを始めたところでスタッフロールが流れる・・・という、お約束と言えばお約束な結末を迎えます。
「オクラホマ」が花束を捨てていったのは、自分で戦わなかった「とうどう」を馬鹿にしての行動なのか、それとも彼らなりに負けたのが悔しかったからなのか、どういう事なんでしょうかね。
・・・とまぁ、そんな感じでゲームは終了。
マネージャーがブランコで遊んでいる様子が映し出され、「おしまい」の画面になります。
この時の音楽が、なんだか切ない。
「いつしか過ぎ去ってしまう、子供時代のほんのひととき・・・」
みたいな、感傷的な気持ちを誘います。
~~さて、どうでしょう?
文章だけではイマイチ伝わりづらいかもしれませんが、全体的に完成度が高く、
繰り返しのプレイにも耐え得る、面白いゲームに仕上がっていると思います。
各競技を極めて、真面目に実力だけで勝負していくのも良いですし、
性能にばらつきのある各種アイテムを、色々と買って試しながらプレイしてみても面白いです。
また音楽の出来も、高水準かつ各競技の雰囲気に合っていますし、
特に「水泳バトルロイヤル」と「はちゃめちゃ柔道」のものは名曲です。
最初に述べた通り、ファミコンのくにおくんと言ったら「それゆけ大運動会」の方が人気があるのですが、私としては、こちらも負けず劣らずの名作だと思うんですけどね。
どの競技も”連打”の要素がある事から、
「連打ゲームと言えば、この”はるかなる金メダル”だ」、というイメージもあります。
ゲームにおいて、連打というアクションによって得られる楽しさの感覚は、時代を超えて通用するものだと思っているので、
そういった意味でも、私の中ではどれだけの年月が経っても古びれない作品の一つに位置付けられています。
「水泳バトルロイヤル」は、今見てもやってる事がちょっとひどいけど、
それを帳消しにするだけの面白さと、堅実なクオリティを誇る、
連打の要素を組み込んだ”ハチャメチャ競技大会ゲーム”として、今でも充分にオススメできます。
最後にもう少し、本作の別バージョンについてもお話ししましょう。
この作品、海外では「Crash 'n the Boys: Street Challenge」という名前で発売されているのですが、
なんと「とうどう」と、連れの「やまだ」が敵として参加しており、
競技の上にて直接対決する事が可能になっています。
(ちなみに「りき」は「オクラホマ」に移動しています。)
事の発端となった二人組とも直に対決できる方が、海外ではウケが良いと判断されたのでしょうか。
この、日本と海外の国民性の違い(?)を配慮した改変が、なんだか好き。
制作スタッフの方々に、謎の男気を感じます。
あと、「どこでも金メダル」と題して、約一年後に”白黒ゲームボーイ”でも発売されました。
そちらはゲーム機本体の変更を配慮して、連打が必要な部分はボタン押しっぱなしに代えられた操作性となっていたり、各選手のステータスやアイテム性能が見直されている他、
プールの奥行きある画面スクロールが再現できなかった為か、
「水泳バトルロイヤル」が「カサ争奪高跳び込み」という競技に差し替えられているなど、
移植というよりは、ブラッシュアップ・リメイクと呼べるような出来栄えになっています。
しかし、一番の見所としては、ショップの女の子達が
ファミコン版とは比べ物にならないぐらい可愛くなってます。
白黒ゲームボーイで、この可愛さは凄いと思うんだ。
今でも余裕で通用するでしょ、これ。
うひょひょひょひょひょひょひょ。
たまらんなあぁ~~~~~~~~~~~~^^
(良いのか、こんな終わり方で。)