「がんばれゴエモン2」ファミコン史上最高峰の音楽とユーモラスな結末を有する、古風なゴエモン
その昔、親しみやすいキャラクターと、クオリティの高い和風な音楽をウリに、
”スーファミ”や”ニンテンドー64”を主な舞台として人気を博した、
「がんばれゴエモン」シリーズ。
我が家には、「ゆき姫救出絵巻」に加えてもう一本、
それが、この「がんばれゴエモン2」です。
発売は1989年。
後のシリーズにおいて相棒キャラとなる、「エビス丸」が初登場。
二人プレイが可能なので、小さい頃はよく父や姉を誘って一緒に遊んだほか、
友達と遊ぶ候補のゲームの一つでもありました。
ストーリーは、役人に捕まって暇を持て余していたゴエモンが、
相部屋となっていたエビス丸から、なにやら”良い話”を持ちかけられる所から始まります。
エビス丸「ゴエモンはん いいはなしが あるんですがね」
ゴエモン「なんだい.. くいもんのことか」
エビス丸「」
このエビス丸の顔ね。
エビス丸「..からくりじょうっての しってまっか」
ゴエモン「なんだい その... からかさ なんとかって」
エビス丸「」
キレッキレである。
子供の頃は、たったこれだけのやりとりで「面白いゲームだ!」って思うものでして、
同じくハマっていたスーファミの名作”ゆき姫救出絵巻”とはまた別物として、
こちらのゴエモンとエビス丸も同様に好きだったものです。
・・・で、真面目に話をすると、なんでも「からくり城」という場所に”どえらい財宝”があるらしく、ゴエモンの腕を見込んで、一緒に探しに行きたいとの事。
暇つぶしにでもやってみようという事で、↑の画像のように話がまとまります。
なんでこんな二人とも微妙に気持ち悪い顔なのかは謎だけども。
牢屋を脱出し、旅が始まります。
(出ようと思ったら普通に出れた模様。機能してるのか、この牢獄は。)
斜め上方向から見下ろした視点の、上下左右にスクロールするアクション形式で進み、
基本的には「通行手形」を三つ集めた状態で「関所」に到達する事で、
次のステージへと進む事ができます。
開幕から非常にカッコイイ、アップテンポな名曲が流れ、掴みはバッチリ。
ファミコンで表現可能な音質を上限突破しているかのような、
コナミお得意の驚異的ハイクオリティの音楽によって、気分を盛り立てます。
ステージには、割と頻繁に「隠し階段」があり、
特定の場所でジャンプする事によって発見する事ができます。
中には小判や最大体力アップのアイテムの他に、通行手形も置かれている事があり、
積極的にジャンプして見つけていく事で、ゲームを有利に進められます。
これは今となっては、昔のゲーム特有の”ノートに攻略を書いたりしながら遊ぶ”のを前提とした作りだったんだろうな~、と思います。
何度も遊んでは、それらの場所を暗記するのも楽しみの一つでした。
今プレイしても、中盤くらいまでなら割と覚えていると思います。
また、特にゲーム後半に顕著になるのですが、時々ボスキャラが登場し、
BGMも専用の勇ましいものが流れます。
↑の画像は、最初のステージのボス「庄屋壱号」。
このゲーム、セーブが出来ない事情もあって、子供の頃はひたすら序盤だけを繰り返しプレイする事が多かったので、特に印象に残っているボスキャラです。
次にボスが登場するのはステージ4、そこも越えると終盤までボス戦はないのですが、
最初のステージからボス戦がある事で、”旅だけじゃなく、ボスとの対決もあるゲーム”という点を強く印象付け、このゲームが面白いと感じられるのを強める作りになっていたと思います。
通行手形は、隠し階段を見つけて手に入れたり、普通に店売りしているのを買ったりする他に、
各ステージにある”3D迷路”の中にも置かれているので、積極的に挑んでいく事が求められます。
特に、まだ序盤の範囲内であるステージ4では、この迷路が解けないと手形が集まらず、
永久に次のステージに進めないので、避けて通る事はできません。
子供の頃は、これがちょっとネックでしたね。
何度もやっていくうちに理解できるようになりましたが、最初は意味がわかりづらかったものです。
そんな感じで、隠し階段を探しつつ、3D迷路を攻略し、
時には集めた小判で道具屋で買ったりしながら「通行手形」を集め、
情緒溢れる各ステージを突破していきます。
その背景の作り込みはなかなかのもので、ゲームが進行していくにつれて
「結構遠くまで来たんじゃな~い??」という気分になってきます。(謎)
また、「めしや」で販売している食べ物は、ちゃんとその土地の名物になっていたり、
”出雲大社”や”奈良の大仏殿”などの観光名所もしっかりと存在していたりと、
日本全国を旅している気分を味わわせる点において、抜かりのない作りとなっています。
全体的に音楽の良さによってプレイのモチベーションが保たれる本作ですが、
特筆すべきは、ステージ7の”日本橋”に到達したところ。
ここで流れる音楽を聴いた瞬間、当時の私は
首筋と背中にヒヤッと鳥肌が立つぐらい興奮した事を覚えています。
ゲーム中、ここでしか聞けない神曲が、ちょっとダレかけてきたタイミングを見計らって流れるものですから、テンションが一気に上がると共に、嬉しさを感じたものです。
子供の頃は、自力でここまで来るのって結構大変でしたからね。
(後に、この曲は前作「からくり道中」一面の曲のアレンジである事を知りました。)
日本橋を越えると、なにやら大きなお城に辿り着きますが、最奥にて殿様に
「ここは からくりじょうでは ないんだよぉぉぉん」
と言われます。
いや、そんな言い方せんでも。
しかし、日本橋での神曲も含めて、なかなかに印象に残るシーンです。
というわけで、からくり城に到達するのは、
ここから更に2ステージを突破した後になります。
直後の2ステージは、積雪した地方が舞台である事に加えて、
ここぞとばかりにボス戦を放出してくるので、終盤感もバッチリ。
マップや3D迷路はかなりの広さを持ち、終盤に相応しい難易度を誇りますが、
ここまで来たら最後まで突っ走るのみ!という気分にさせられます。
そしていよいよ辿り着いた、ステージ10にして最終面の「からくり城」。
ここでもボスが目白押し。
なんか”グラディ〇ス”みたいな敵キャラも混じってきますが、
プレイヤーのテンションも最高峰に達しているので、気になりません。
とにかく戦って、倒すのみ。
上の階へ進む為には「鍵」が必要となる所も多いので、
神曲と共に広大なマップを上へ下へ、左へ右へと駆け回ります。
階段に到達するたびに、
「タカ タカ タカ タカ タカ タカ・・・」
と、足音だけを響かせて上っていく演出が独特。
一方通行なのも相まって、より一層気持ちに勢いが付きます。
しかし、クリアを目前にして立ちはだかる、この無限回廊。
ここでは、四方向の通路を決められた手順で進まなければ、
永久に同じ場所をさまよう事になるのですが、その為の手掛かりは一切ノーヒント。
子供の頃、ここで延々とさまよっても一向に先へと進めず、
「せっかくここまで進んできたのに、なんでこんな目に遭わせるんだ・・・」
と、泣く泣く電源を切った思い出も。
その後、友達の家で挑戦した時も同じ事態に陥りましたが、
およそ一時間が過ぎた後、偶然抜ける事ができました。
正解は 右・上・右・下・下 だったと思います。
下へ二連続で進まないと出られない、というのが落とし穴なんですよね。
やみくもに方向を変えながら進んでも、絶対に出られないようになってる。
ゲーム中において、後から語り草となる部分を作りたかったんだろうという意図は理解できるんですけど、ちょっとこれはあんまりだったかなぁって思ってます。
ともかく、その後もまだまだボスラッシュ。
しかし、あの気が滅入るような無限回廊を突破した後ならば、
こんなものは屁でもありません。
エンディングまで、あと少しです。
そして、いよいよラスボスがお目見え。
今になってわかるけど、コイツもグラディ〇スが元ネタじゃないか・・・!!
お馴染みのモアイじゃないか・・・!!!
この第一形態は、どうやっても攻撃が通りません。
後ろにある、二つの怪しい”映写機”を破壊しましょう。
すると、ホッピングおじさん その名を「バカ殿からくり権左衛門」という、
真のラスボスが姿を現します。
しかし、見た目でわかる通り、ぶっちゃけそんなに大した敵ではありません。
サクッとやっつけたら、もう一度だけ階段を上り、
物語は待望のエンディングへ。
さて、それではここに来ていよいよ本題です。(長かった・・・!!)
ゲーム史上に残る衝撃のオチと馬鹿馬鹿しさを誇る、
珠玉のエンディングが展開されます。
長旅の果てに、遂にからくり城の隠し財宝を発見した、ゴエモンとエビス丸。
喜び勇んで、その箱を開けます。
すると・・・
まばゆい光と共に、エビス丸の頭に亀裂が!!!
ゴエモン「えびちゃん...」
そして一抹の煙が立ち込め、謎の美少女へと変貌!!
これが「もとの姿」・・・???
話を聞くと、彼女は先ほど倒した”からくり城の殿様”から無理に結婚を迫られ、
断ったところ「変身からくりの術」によって姿を変えられてしまったとの事。
ゴエモン、あんた顔が・・・
「うさぎさん」て、あんた・・・
興奮しとんじゃないわ(笑)
どうやら、もとの姿に戻れた彼女は、国へ帰るらしい。
まぁ、ともかくめでたしめでたし・・・かな?
しかし、お礼を言われて再度この顔である。
そして流れる、スタッフロール。
ゲーム史上において、こんなにも主人公が締まらない形で、
スタッフロールへと突入するエンディングがあっただろうか。
それでも、このスタッフロールの曲を聴いていると、これまでの長い道のりや、終盤のボスラッシュを思い返しては、達成感や感慨深い気持ちが湧いてきて、
なんだかんだで、面白かったよね。うん、良いゲームだった。ってな感じになるんですよ、これが。
本当、音楽だけでゴリ押ししてたゲームだよなぁ、って思います。
(実際には全然そんな事はなく、その他の部分も非常に丁寧で良く出来たゲームなのですが、
最初と最後のやり取りがふざけている為に、そういう印象が強く残ります。)
スタッフロールが流れ終わると、最後に多数のおひねりが飛んできて、
エビス丸がそれを拾う動作をし、上から「完」の文字が落ちてきて、ゲーム終了。
これが最後の画面となります。
いや~、最後までふざけてユーモアがありましたねぇ。
そうか、これはこういうお芝居だったんですね。きっと。
舞台で見る、喜劇みたいなノリだったんだなと思うと、悪くないかもしれません。
実際、形はどうあれ、一人の美少女の人生を救った物語なわけですし、
国へ帰るという彼女の発言、すなわち今まで旅を共にしてきた、元相棒とのお別れを意味する最後のやり取りには、しんみりとした気持ちにならなくもありません。
音楽を始めとして、一つ一つの要素は非常に高品質な作品ですから、
これでストーリーまで真面目一辺倒だったら、もっと堅っ苦しい印象のゲームになっていた事と思いますので、きっとこれで良かったのでしょう。
それにしても、このゲームを名作たらしめているのは、
やはり音楽の力が大きいと思います。
明らかに、ファミコンから鳴らせるような音じゃない音が鳴ってます。
そして、一曲一曲の和風チックなメロディーラインも見事で、それでいて耳に残る。
使用しているゲーム機が”ファミコン”だという背景を加味しても、
ゲーム史上において、これほどまでにハイクオリティな楽曲群を誇る作品は、
そうそうお目にかかれないレベルだと思います。
本当に、音楽に関しては絶賛する感情しかありません。
他の要素も充分丁寧で素晴らしいけど、とにかく音楽の要素が突出し過ぎています。
その他の点では、あえて画像は貼りませんでしたが、
各ステージで一度だけゲームオーバーからの救済措置があり、それが”大きな鬼が釜茹でにしようと待ち構えており、宙吊りの状態でボタンを連打して脱出する”という形式であったり、
一部のステージにある地蔵を叩くと、”おどろおどろしい地獄ステージへと突入する”など、
謎のホラー&トラウマチックな要素もあり、子供心に強烈な印象を残す仕掛けのあるゲームでした。
最後の主人公の姿はちょっと締まりがないけれど、それを補って余りある素晴らしい音楽と共に、
日本全国を巡る情緒溢れた旅、そして手強いラストダンジョンを楽しめる、
ファミコンが誇る”名作和風アクションゲーム”です。