かめのあきのゲームブログ

好きなタイトルを中心に、レビューや思い出を画像多めで書き綴ります。

「パワプロクンポケット5」俺があいつであいつが俺で?天国から地獄の、入れ替わり物語!

中学一年生の頃の私は、気分はまだまだ小学生時代の延長。

パワポケ4」をきっかけに、新しい友人ともパワポケで盛り上がっていた毎日。

 

 

その年明けに発売されたのが、このパワプロクンポケット5」

 

今まで春頃に新作が出ていたのですが、この作品からペースが早まり、

シリーズでは唯一の一月に発売された作品となりました。

 

情報欲しさに「コロコロコミック」を買ったり、当時ネットで流行っていた「お絵描き掲示板」にイラストを描きながら発売日を待ったのも、今では懐かしい思い出です。

 

 

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今回の物語は、天才ルーキーの「小杉優作」が、モグラーズのお荷物選手と廊下でぶつかり、

身体が入れ替わるからスタートするという、まさかの”入れ替わり”物。

 

入団二年目にして脚光を浴びていた生活から一変し、弱小球団で万年二軍、クビ寸前の選手となってしまった主人公(小杉)。当然、周りは誰も信じてくれない。

 

ある意味、冒頭にして本サクセス一番の山場なのかもしれません。

 

 

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仕方なく、元お荷物選手のフリをしつつ、その身体で生活を続ける主人公。

そこへ、近所に研究所を構えていた、前作でも登場した黒野博士」と出会います。(何故か裏サクセスの”魔王”姿なのがツッコミ所)

 

彼の技術を持ってすれば、人の外見を変える事など朝飯前。

自分もスター選手へと返り咲いた上で、現在の小杉と交渉し、それぞれを元々の姿へと作り変えれば万事解決との事。

 

それを最終目標とし、今の身体で一軍へと上がり、スターの地位を目指して奮闘していく事になるのでした。

 

 

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野球部分についてですが、まず目を引く大きな変更点として、

ミートカーソルが丸くなりました。

 

 

球場が前作の更に1.5倍に広くなった他、ボールの飛び方にも大幅な見直しがなされ、

 

・ピッチャー返しが抜けやすくなった

・鋭いゴロで内野を抜けるヒットを狙って打ちやすくなった

・円形のミートカーソルを利用して、バウンドする内野安打を狙う戦略性が生まれた

 

などなど、前作ではほぼ強振で外野まで吹っ飛ばすだけだった打撃面に大幅にバリエーションが増え、格段に面白くなりました。

 

 

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恒例のミニゲーム群も、

「本格落ち物パズル」「前作の本格横シューの続編」「反射神経&判断力系の1ボタンゲーム」「運が絡む1ボタンおみくじ」と、隙の無い布陣。

 

前作までは、サクセス中ではチームメイト絡みで一度だけ行うのが基本でしたが、

今回は、二年目に各コーチのもとを訪れて、経験点と特殊能力取得の為に、おみくじを除いて各四回まで任意の回数プレイする事ができます。

 

 

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ストーリーの展開と結末は、三年目の自身の活躍によって幾通りかに変化し、見事日本シリーズへと進出できた場合は、

 

二軍選手の身体で一軍の主力選手に上がってきた、元スターの主人公VS慢心による成績低下を持ち直して這い上がった、スターの身体をした元落ちこぼれ

という、パワポケシリーズでも屈指の熱いシチュエーションによる、最終決戦にして直接対決が行われる事になります。

 

その際の「お前なんかに負けられるか、このエリート野郎!!」という小杉(元主人公)のセリフには、グッときた人も多いでしょう。

 

 

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裏サクセスは、領主の異なる三つの里が、

ある事情から”野球人形”を巡って争いをするストーリーが繰り広げられる、「忍者戦国編」

 

シリーズの第五作目、RPG風サクセスが搭載された作品としてはまだ二作目であるにも関わらず、

登場キャラクターの多さ、盛り沢山のイベント、そして完成度の高さから、

すでに当時の総決算とでも呼べるような出来栄え。

 

主人公の陣営も、三つの里から選ぶ事ができ、

主人公が主力として戦っていく方法と、主人公は戦わせない事で敵の強化をふせぎ、オート戦闘の仲間達だけで戦っていく方法の二種類に攻略法が大別され、

いずれにしても、非常にやり込み甲斐のある内容でした。

 

 

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と、あらゆる面で正統進化を遂げ、前作に引き続いて音楽のクオリティも文句無し。

GBA用野球ゲームとしても、シリーズ全体として見ても、

なんなら一つのゲームソフトとして見ても、非常に高水準且つボリューム満点に仕上がっている今作。

 

人気が高いのも頷けますし、

客観的に見てシリーズ最高峰の出来栄えでしょう。

 

 

ですが、個人的な好みを言わせてもらうと、

私はこの「パワポケ5」、過去作の「1」~「4」と比べると、魅力の面で少し劣ります。

 

その理由となる大きな部分は、表サクセスの試合が最初から最後まで「自分操作」のみである事。

 

 

「1」、「3」、「4」は一貫して全員操作ですが、

「2」は一、二年目のみ自分操作で、三年目の一軍戦開幕と同時に全員操作となり、試合曲も切り替わって雰囲気が一変。

「チームで一丸となって、日本一を目指すのだ!」という気持ちを湧き立てられました。

 

その一体感こそが非常に燃えて、パワポケらしさ」だと感じていた部分なのです。

 

 

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ところが今作では、一年目も二年目も、ストーリーが大きく盛り上がる三年目においても、

操作する選手は最後まで「自分だけ」

 

いくら物語上は盛り上がっていても、試合においては自分が打ちまくって活躍しようが、はたまた投手として失点をいくら抑えようが、負ける時は負けまくります。

 

逆に自分が活躍できずとも、CPUのチームメイト達が勝手に頑張って、モグラーズが謎の快進撃を繰り広げる場合もあるのです。

 

 

その為、過去作は本当にゲームの中へとのめり込んで、甲子園優勝や球団日本一を目指したり、主人公と一体となって育成に没頭している気分に浸れましたが、

今作はどうしても、主人公とライバルのドラマを一歩引いた所から見ている、という気分になりがちでした。

 

 

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また、新キャラのチームメイト達に関しても、

単純に地味な「勇」、先輩や新人問わずプロレス技をかける等、問題行動の多い「諸星」、競馬狂いの「馬井」と、

今までと比べて魅力に欠けるメンツなのも、「パワポケ5」の欠点だと思っています。

(「パワポケ4」も同様の欠点があると思っていましたが、今作は更に薄味。)

 

これらのメンバーよりも、一軍の「北条監督」や、コーチである鬼鮫「迅雷」達の方がよっぽど存在感があり、

最後まで自分操作だけなのも合わさって、せっかくの仲間達に愛着が湧きません。

 

 

モグラーズ編2」と銘打っているだけあって、パワポケ2で登場していた「古沢」さんが二軍監督になっていたり、天才肌の「水木」さんが残留していたり、応援団長の「今田」や小料理屋の「幸恵」、「大鉄」などが引き続き登場しているものの、

物語の序盤で「大神モグラーズ」となって、「4」で登場した超高校生級の「大神」が加入したり等、全体的に”2の延長線上のモグラーズ編”という感じはあまりなく、

 

「メイン二人の身体の入れ替わり物語の舞台に、”一応”モグラーズが使われた」

という程度なだけに感じられました。・・・私だけなのかもしれませんけど。

 

 

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それと、優秀な選手育成には「パチンコ屋」にうろついて各種プラスアイテムを取得していく事が有効となるのですが、これらが当たる確率は高くても30%とかなので、

運が悪いと、何度うろついてもリセットしても当たらず、育成が捗りません。

 

その事から「パチプロクンポケット」という

異名もあるようです。言い得て妙。

 

 

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彼女候補の数は、シリーズ最多の七人と豪華さを誇りますが、

リターンの面では、ファミレスで知り合える「星野めぐみ」が突出しており、育成の面で見たら彼女一択。

 

しかし、出会いから電話番号取得、最終局面に至るまで随所にランダム要素が絡み、

最善を尽くしても、必要なコマンド数は運によってかなり上下されます。

 

 

彼女関連で大きく運が絡むのは、前作における一部のキャラにも該当しましたが、今回はそれに加えて「パチンコ」で道具を当てるのも運、更には試合での勝ち負けも運絡みと、

戦略性の乏しい運が多く必要な点が、私の好みと合致しなかったのだと思います。

 

パワポケ3」も運要素が非常に大きい作品でしたが、それとはまた毛色の違うギャンブル性が散見されるというのが、私の中での「パワポケ5」の表サクセスの印象です。

 

 

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それと、彼女キャラ関連のイベントの一部が、なんか妙にリアリティがあって生々しい。

 

前述の「めぐみ」はファミレスの店長と付き合っており、別れようとしても付きまとわれているというストーリーで、彼女とハッピーエンドを迎える為には、最後の最後で

店長と対決して、包丁で刺されるイベントを経る事になります。

 

 

・・・いや、確かに前作の「深雪先生」でも、そんな感じの話あったよ?

それにしても、現場に立ち会わせる事はありませんでした。しかし今回のはモロ。

 

 

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それ以外にも、物語冒頭で身体が入れ替わった元主人公(小杉の身体になった方)が、その境遇を利用して自分のファンに早々に手を出していたり、

こっちはこっちで落ちこぼれなのにも関わらず、何故か付きまとってくる女の子がいたり。

 

そして最悪の場合、彼女は小杉の身体となった元主人公の事を見抜いて、

心身共に打ちひしがれた彼と心中する結末も。

 

 

・・・なんかこれ言っちゃ元も子もないんだけど、明らかに中学一年生の頃にプレイする内容のゲームではなかった気がします。

 

パワポケはそういうゲスい要素というか、黒い部分あってこそなのは承知している所なのですが、

大半の作品はその上に「若々しい”夢”とか”希望”」みたいなメインテーマが乗っかっていて、

その絶妙なバランスのもとに成り立っていてこそだと思うんですけど、

今作の表サクセスに関しては、ちと生々しさが目立ち過ぎちゃってた気がします。

 

(元主人公の悪友塚本」とか、他作品ではまず見かけないような性格のキャラだしね。)

 

 

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色々と苦言も呈してしまいましたが、それを差し置いても余りある豪華さと仕上がりから、

前作に引き続き、アルバムを全て埋める所までやり込んだ事実は変わりません。

 

表サクセスと裏サクセスの総合的なボリュームとクオリティ

パワポケ4」に続いて驚異的なまでに良曲揃いの音楽

強い選手を作る上での間口の広いバランスミニゲームの面白さ「俺のペナント」の実装と、

あらゆる面で、極めて高水準の質を誇る今作。

 

いくつかの要素が、私の好みとは少し外れていたというだけで、

本作がパワポケ最高傑作の一つに数えられる出来栄えである事には、一切の異論の余地は無いと思っています。

 

 

本家「パワプロシリーズ」のように、何度でも繰り返し選手を育成する事を楽しめる点で最も適しており、且つ最高クオリティの作品は?

と聞かれたら、私はこの「パワポケ5」が最適格であると思います。