「パワプロクンポケット4」試合に負けると部員が消える・・・!?悲願を果たし、神隠しの呪いを解け!
さて、「パワポケ2」から入って同シリーズの三作目と初代にもハマり、同年の年末には伝説の対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズDX」が発売されてそちらにもハマり、
そうこうしているうちに、私も中学生になっていました。
そんな時に発売されたのが、この「パワプロクンポケット4」。
同じ頃、私の姉が大学のお祭りでミルキーブルーのゲームボーイアドバンスを当てて、私にくれるというミラクルが起き、ついに念願のアドバンス本体を手に入れていた私は、
この「パワポケ4」が、初めて自分で買ってプレイするパワポケとなりました。
それはもう毎日のように、夜遅くまで夢中になって、イヤホンを付けながらプレイしたものです。寝床で小さな電気を灯したりしながらね。
同学年の友達5~6人も一緒に買って、学校で進行状況を話し合ったり、土日に集まって一緒にプレイしたりと、最も純粋に多くの友達とハマり込んだパワポケでもあります。
悪の組織「プロペラ団」に関わる一連の物語は「1」~「3」で完結した為、この四作目は”心機一転”という雰囲気と共に、
部員集めから開始する高校編である事や、荒井三兄弟ポジションの「黒野兄弟」が登場する事、転校生の主人公が弱小野球部を甲子園に導くという大まかなストーリー展開など、初代作を踏襲した要素も見られました。
初代との差別化として、本作のアクセントになっているのは、離島での穏やかな生活という要素と共に、
「ある慰霊碑を壊した事で呪いがかけられ、試合に負けるたびに部員が消えていく」というホラー要素が、前面に押し出されている事が挙げられます。
消えた部員は集合写真からも消え、部員達の記憶からも無くなり、
まるで最初からいなかったかのような扱いを受ける有り様に、主人公は戦慄します。
このイベントの際の、
テ~~~~~~~ン↓テン↑ テン↓テン↑ テン↓テン↑ テン↓テン↑・・・
という怪奇と恐怖に満ちた音楽が、なかなかに印象的。
島の神主である「不吉ババア」によると、
無念にも終戦と同時に沈没死を遂げた当時の高校球児達に代わって、甲子園出場を果たす事が呪いを解く手段であり、それが叶わなければ、主人公も神隠しに遭ってしまうだろうとの事。
途方に暮れる主人公の前に、同じく呪いの影響なのか、
部室が全焼するという更なる悲劇が。
この事態を前に、野球部のメンバーは主人公と「山田君」を残して散り散りに。
野球部に戻ってもらう為、元部員達のもとを訪れて「パワポケ1」と同じようにミニゲームをこなして再集結させた後は、一丸となって甲子園出場を目指していきます。
野球部分についてですが、前作と比較して球場が1.5倍ほどに広くなり、
まだまだ発展途上とは言え、最低限まともに楽しく遊べるものに改善されており、打球も速くなった事で、長打を狙って得点していく爽快感を味わえるようになりました。
この進化には、子供ながらに「おっ!良くなってる!!」と嬉しく思ったものです。
「1」ほどではないにせよ、今作も打高バランスなので、パワーがDぐらいからホームランが狙え、
三年目の地方大会決勝を除いて、相手投手が変化球を投げてくる事も少ないので、試合面ではシリーズの中でも易しい部類に入ります。
優秀な選手を作る上で絶対に負ける事が許されない、二年目の「鎮台高校」戦では、
敗北しても次の週に進む演出中にリセットすれば勝った事になるという、救済措置のようなバグもあったので、私も含めてお世話になった人も多いでしょう。
また、今作の表サクセスを語る上で欠かせないのが、「黒野博士」の存在。
うろつきコマンドで彼の自宅に行くと、人体実験を受ける事ができ、場合によっては
・ミート+1、パワー+10、走力+1
・パワー+10、走力+2、守備力+1(ただしケガ×付き)
などの大幅な能力強化を得られるので、より高みの選手を目指すならば、練習で能力を上げつつ終盤間近に彼のもとを訪れて、良い結果を引き出す事が必須となります。
失敗して痛い結果になる事もありますが、二回目までなら成功確率の方が高いので、意外と比較的ローリスク。
もちろん、三度目以降は成功確率が下がる事を承知の上で、彼のもとに入り浸るというギャンブル的な育成方法を実行する事も、遊び方の一つではありました。
それと、二年目は試合に出る為の部費を自分達で用意する必要があり、最高効率を目指すなら収入の振れ幅が大きい「鉱石掘り」を行うのが最適解なのですが、
前作の「トンネル工事」や「ボディーガード」のように一定の確率で事故が発生し、発生すると怪我扱いとなって入院する事になってしまいます。
他にも、父親と釣りをするイベントや、初詣でくじを引くイベントなどで「ゆがんだバット」や「白のリストバンド」等のマイナスアイテムを理不尽に取得し、リセットした回数も多かったような気がします。
このように、「パワポケ1」のような実直な高校球児のストーリーをメインとし、試合面での敷居は低い反面、
育成の上では「パワポケ3」のような博打性も適度に併せ持っているという、独特の育成バランスに仕上がっていました。
ただ、前作のメカメカしく重厚な音源とは一変して、
今作は全体的に優しく柔らかな音源である事、それを活かした温かな曲調や爽やかな曲調の音楽が多い事から、育成の上での理不尽さを感じさせにくい作風であった点は、強く主張したいポイントです。
春の曲、試合曲、甲子園到着時の曲、アルバムの曲などは言わずと知れた名曲ですが、個人的には「よろず屋」の曲も地味に名曲だと思っています。
育成を有利にするプラスアイテムを、自分の稼ぎで好きに買えるホクホク感やワクワク感、そして子供時代特有の無邪気さのようなものが、この曲には感じられるのですよ。
あぁ、この頃は良かったなぁ。まだ自分はずっと、子供でいられるんだと思ってた。
ちなみに、「パワポケはギャルゲー」という観点から見た場合についても言及しておきますと、「1」~「3」の時点では彼女関連のイベントが占めるウェイトは、
個人的に作品全体における二割程度、むしろそれ以下ぐらいの認識でしたが、
今作にて三割~三割半くらいには上がった気がします。
物語の真相に迫る際に攻略する事になる「天本」さん、幽霊の「葉月」さんの人気が高い印象ですが、当時の私は普通にマネージャーの「神木ユイ」に萌えた。
思わせぶりな事を言ってお弁当を作ってくれるようになるし(しかも育成にも便利)、驚く時になんか「ひあっ!」とか言うし、春風のいたずらでパン〇ラするイベントもあるしで、
思春期の頃は、こういう普通にあざとく、正統派なヒロインっぽい子が響くよね。
攻略本に載ってた「三年目の甲子園出場前に、グラウンドで電車の乗り降りの練習をする」ランダムイベントは、結局見られなかったなぁ。凄い見たかったんだけど・・・
というわけで、この段階で「パワポケはギャルゲー」という方程式は、既に若干成立してしまっていたかもしれません。
でも、まだまだ本筋だけでも充分面白い頃のパワポケなので、その辺のバランスは本作が一番丁度良いと思っています。
もう一つの目玉要素として、2では「戦争編」、3では「ドキドキ地雷パニック」と、
おまけサクセスと称して付け加えられていた”もう一つのサクセス”が、
本作では”裏サクセス”と新たに銘打ち、大幅にグレードアップ。
日の出高校編で選手を三人作ると遊べるようになる「RPG風ファンタジー編」は、
パワポケ3のようなパーツ制を落とし込みつつ、本格的な剣と魔法の世界観によるRPG風の冒険サクセスを味わう事ができ、こちらも一生懸命にやり込みました。
ただ、突き詰めてしまうと、
良い選手を作るには中盤まで仲間を加入させずに一人旅をするのが最適解である事、
期限終了までの大半は「妖精の泉」と言う場所に滞在し続けてお金を稼ぎまくるのが非常に強力且つお手軽な育成方法であるというのが、少し味気なかったかな、と思います。
それでも、当時ハマりにハマっていたパワポケの世界で「まさかRPGが遊べるとは!」と、夢のような気持ちでプレイし尽くしたものです。
何度もクリアすると、最初に王様から貰える資金の額が増えていくのですが、
リセット技と絡めると更に莫大な額を持ってゲームを開始できるようになって、結構やりたい放題できるようになるのも、個人的にお気に入りだった理由の一つでしたね。
一度見たエンディングは記録され、何度でも見返す事が出来る「アルバム」モードも実装されて、
最後まで続くパワポケの基礎の大半が形作られた本作。
全てのアルバムを埋めるには、運が絡む要素も非常に多く、多大な時間を必要としましたが、私は次回作が出るまでの間に全て埋めました。
それでも決して飽きずにやり遂げられた事から、この「パワポケ4」が四作目にして非常に高い完成度と魅力を誇っていた事を、身を持って証明できます。
遊びやすさと敷居の低さ、やり込めば表でも裏でも比較的手軽に強力な選手を育成できる点、
なにより、作品全体に漂う優しく柔らかな雰囲気から、同級生に「何かパワポケで面白いやつ貸して」と言われたら、私はよくこの作品を貸していました。
シリーズで最も万人に勧められ、間口の広さと面白さを兼ね備えた作品は?
と聞かれたら、私はこの「パワポケ4」を挙げますね。