その昔、「ボボボーボ・ボーボボ」というハジけたギャグ漫画が、”少年ジャンプ”にて連載されていました。
主人公「ボーボボ」を始めとした、心を鷲掴みにするハジけたキャラクター達と、脳天に響くハジけたギャグの数々から、当時の子供達に大人気だった事と思います。
私も、友達のS君が漫画の一・二巻だけ所持していた事から触れる機会があり、
たった二冊だけにも関わらず、その革新的且つ爆裂的な面白さに魅了され、何度も読み返し、
ボーボボという強烈なキャラクターが心の中に刻み込まれました。
そんなボーボボが、後にハドソンの手によってまさかのゲームシリーズ化。
これは、その第一弾「奥義87.5 爆烈鼻毛真拳」の感想&紹介記事となります。
(「87.5」は語呂合わせで「ハナゲー」と読むそうです。)
このゲーム、私が当時楽しみにしていた「パワポケ5」と発売時期が近くて、その情報欲しさに買った”コロコロコミック”に一緒に情報が載せられていた事で、
「ボーボボでRPG!?マジかよ!!」と思って、印象に残ってたんですよね。
発売されたのが2002年の12月で、翌年の春頃だったかにS君とブックオフに行った所、
↑のパッケージを発見しまして、彼が3750円で衝動買いしたのです。
それを貸してもらって、晴れてプレイする機会が巡ってきたというわけです。
基本的なゲーム性はRPGを踏襲していますが、「ワードプレイングゲーム」という名の通り、
ボーボボの攻撃「鼻毛真拳」はルーレット形式で
単語を繋げて繰り出し、原作に存在するセリフを出来るだけ長い形で組み立てる事で、
威力が増大したり、全体攻撃になったりするという形式になっています。
最短で一つ、最長五つまで繋げる事ができ、正しく繋がる単語は点滅して表示され、
止め時も判別できるので、原作を知らずともプレイに支障はありません。
単語の数は、ゲーム進行と共にどんどん増えていき、収集要素にもなっています。
原作のセリフ形成に成功した際の「鼻毛真拳〇〇奥義」の発動画面には、
いくつかのパターンがあり、見た目にも結構飽きさせません。
序盤から全体攻撃として使えて、終盤まで通用する「マヨネーズ 戦争 勃発」、
裏ワザで習得でき、同じく全体攻撃の「イー・ アル・ キャンフーだ!!」
の二つを、よく愛用していました。
また特徴的な要素として、時折混ざっている”閉店”で止めてしまうと、
店主が鼻の穴のシャッターを閉めてしまい、攻撃が不発になってしまいます。
これは原作の一巻にあったギャグシーンで、ゲームシステムの根幹へと落とし込んで
自然な形で成立させているのは、見事の一言です。
レベルの概念はなく、ステータスの上昇は戦闘やイベントで手に入る「マメ」を使って行います。
体力は「ハジケ」、攻撃力は「ツッコミ」、防御力は「ボケ」、素早さは「ダッシュ」と表記されており、地味ながら原作のノリに対するこだわりが伺えるポイント。
「奥義」は、鼻毛真拳ルーレットの制限時間と”閉店”の出にくさに影響しており、優先して上げておく事で、事故を少なくする事ができます。
(味方の場合は”連携技”の威力に影響したはず)
戦闘は二人パーティ制で、一人だけ選べる仲間はオートで動き、原作にあるセリフを発しつつ、それぞれが特徴のある戦法で戦ってくれます。
「ビュティ」「首領パッチ」「ヘッポコ丸」「ソフトン」「天の助」と原作通りに加入していき、後から加わる仲間の方が、攻撃の平均威力は高くなっているようです。
このゲーム、育成する仲間は一人に絞り、ボーボボと二人だけでマメを使いまくって強化する事で無双も可能なのですが、私はあえて全員均等に育てつつ、
「首領パッチは攻撃力重視だな」「ソフトンはなんとなく守備力特化で」と個性も付ける事で、道中の仲間の使い分けも楽しみながらプレイしていました。
遊び方はプレイヤー側に委ねているといった感じの、良い意味でのユルさが、このゲームの長所だったと個人的には思っています。
クリア後のおまけダンジョンになると、途端に難易度が跳ね上がりますが、そこも含めてキャラゲーとして良好な範囲のバランスに収まっていたのではないでしょうか。
ストーリーは、原作としても人気の高い五巻までの「軍艦編」を、ほぼ忠実に再現。
セリフも基本的に原作そのままをなぞっており、ゲームとして見たら会話が時々やたらと長かったり、伝わりづらい部分もあるものの、
当時二巻までしか原作を読んでいなかった私は「次はどうなる?」と思いながら、純粋に遊べた記憶があります。
それと何より、このゲームの特筆すべきは
原作の世界観を忠実に醸し出した音楽。
とりわけ「通常戦闘」「中ボス戦」「ラスボス戦」のどれもが絶妙にボーボボっぽく、
それでいて非常にカッコイイ。
私はその後、今に至るまでに、本作を含めてGBAにて四作発売されたボーボボのゲーム「通称”ボゲー”」は、全てプレイする機会がありましたが、
音楽の面で最もボーボボらしさが形成されていたのは、この「奥義87.5 爆烈鼻毛真拳」だったと断言できます。
初めてプレイした当時、返した後もその面白さが忘れられず、ほどなくしてもう一度貸してもらって、二周クリアしました。
一周のクリア時間も十時間ほどと手軽で、周回にも向いた作りだったと思います。
GBAを代表する変則型RPG、突飛ながら手堅く完成されていた良作キャラゲーとして、私の心と記憶に残り続けている作品の一つです。