「パワプロクンポケット2」お荷物球団ドリルモグラーズで過ごす、最悪で最高の三年間
「パワプロクンポケット?・・・あぁ、野球ゲームの皮を被ったギャルゲーね。」
このシリーズに、多少なり馴染みのある方は、そう思うかもしれません。
その通りです。否定できません。
パワプロクンポケットは、”一応野球を題材にした別の何か”なゲームです。
ただし、それはシリーズ七作目ぐらいからの話。
2000年にゲームボーイカラーで発売され、私が初めて触れたシリーズ二作目は、
潰れかけの弱小球団を主人公と仲間達で日本一に導く、真っ当な友情・王道ストーリーの野球ゲームでした。
小学五年生の頃、友達と集まって遊ぶゲーム機と言えば「ニンテンドー64」。
その中に「パワプロ5」「パワプロ6」があり、現実の野球にはあまり興味が無い自分でも、選手をお話の中で育成して強くしていく「サクセス」モードには、強い関心を抱いていました。
そんな時、友達の一人のT君が「ゲームボーイでもパワプロあるんやけど、サクセス出来るよ」と言って貸してくれたのが、この「パワポケ2」でした。
大赤字の弱小球団「ドリルモグラーズ」に入団した主人公が、「おれがバリバリと活躍して、モグラーズを生まれ変わらせてやる!」と言ってスタートするサクセスモード。
鼻も口も無いちんちくりんなキャラクター達による、至って真面目で一直線なストーリーに、私は純粋にのめり込みました。
しかしこのゲーム、難しい。
何が難しいって、バッティングが。なかなか飛ばなくて、ヒットが打てない。
最初の頃は「契約更新」までに世間評価を稼ぐ事ができず、一年目で何度もゲームオーバーになりました。
そう、このゲームはパワー至上主義。G~Aまである段階のうち、パワーをC以上には上げなくては、試合でほとんど活躍できません。
序盤はとにかくパワーを上げる。それを心得てからは、ようやく二年目以降に進むことができるようになりました。
二年目に入ると、初詣に行った神社でなにやら意味深なメッセージが。
これをヒントに、チームメイト達の部屋に行くと、
「結婚式をぶち壊す為に車で暴走する」「借金を返す為に内職する」「飼っていた”殺人クワガタ”なる生き物をバットで仕留める」といった内容のミニゲームをする事になり、
成功しないと、そのチームメイトは球団を辞めてしまいます。
バッティングの難易度と言い、ミニゲームに失敗しただけで味方がいなくなってしまったりと言い、このゲームってなんだか厳しい・・・
そんな尖った印象を、この作品に抱いたりもしました。
それでも入団三年目になり、晴れて一軍の選手となる主人公。
しかし、経営不振が悪化したモグラーズは、二軍以下の選手や年俸の高い選手達を全員クビにするという処置がとられます。
「なんだかおれたち、全員バカにされたって感じだよなぁ」
「モグラーズは今年で終わりって噂もあるみたいですし・・・」
監督やコーチも含め、意気消沈するチームメイト達。
そんな中、主人公が言い放つ一言。
「カントク、ゆうしょうしましょう!」
優勝さえすれば、モグラーズが無くなる事はないはず。
「こんな状況に流されただけのゴールなんかで、良いはずがない!」
ひねくれがちだけど、天才肌の先輩「水木」さん。
元々一軍で活躍していた事もある、年長者の「古沢」さん。
動物好きで俊足の一番バッター「畑山」さん。
貧乏だけど家族想いのお父さん「倉刈」さん。
日本文化が大好きな、陽気な外国人助っ人「ドミオ」。
皆で一丸となって、優勝を目指してモグラーズ最後のペナントレースに挑むのでした。
・・・と、こんな感じのストーリーです。
どうです?超王道でしょう。まったくギャルゲーなんかではありませんよ。
少なくともこの二作目に関しては、彼女候補の数もシリーズで一番少ないし、それ関連のイベントも非常に淡白です。
ただし、高校時代のマネージャーでもあった彼女候補の一人は、話の展開によっては三年目に夜道で撲殺されたり、
のりかというストーカー女がいきなり現れて、世にもおぞましいイベントの数々によって育成自体が困難になったり、
呪いの人形という不気味なイタチの人形を拾ってしまって、常時ケガ率が上がる事になってしまったり、
初詣のおみくじでは妙に大凶が出やすく、一度に四つの病気が付いたりと、
ホラーチックと言うか「なんでそんな事すんだよ!」と思うようなトラウマ的要素もあったりしますが・・・
というか、各章の始まりのSEがなんかもう怖い。
(のりかと呪いの人形は、そのイベントが発生した時のSEもまた怖い)
でも、それらを差し置いてもこの作品は、
窮地に立たされた主人公と個性的な仲間たちが、愛着ある我が球団を潰させまいと日本一を目指す、純朴な熱血王道ストーリーの野球ゲームだと思います。
右打者は何故か左打者よりも打球が飛びにくく、モブばかりの下位打線は全員右打者なので異様に頼りにならないという裏事情もあいまって、
三年目の一軍戦を戦っていく上で、上記の固有の仲間達には並々ならぬ頼もしさと心強さを感じます。
それが、他のシリーズ作では味わえない、「パワポケ2」の大きな魅力だと思いますね。
とにかく、私はこの作品がきっかけで、
シリーズが終了する十四作目まで、このシリーズを追っていく事になりました。
今となっては野球部分に難があったり、全体的にイベントも淡白だったりしますが、
極めて王道でわかりやすい熱血ストーリーと、唯一無二の個性と魅力に溢れたチームメイト達の存在から、今でも自分の中で毅然と輝くゲームです。
モグラーズよ、永遠に!!