「メイド イン ワリオ」冒険家の次はゲーム会社の社長として、新たな道を歩み始めた新生ワリオの瞬間アクションゲーム集
活躍の舞台を携帯機とし、
自らを主役に、様々な場所にて冒険を繰り広げる内容を収録した作品群が展開されていた”ワリオ”。
そんなある時、突如として、
冒険業から離れた彼による、極めて革新的なゲーム内容のソフトが発売されました。
それが、今回ご紹介する、
「メイド イン ワリオ」です。
ゲームボーイアドバンスにて、2003年3月21日に発売。
当時、「5秒で楽しい」「最多 最短 最速」を謳い文句に、
”人の鼻の穴に人差し指を突っ込む”という内容のミニゲームが映し出されるテレビCMが放映されており、その強烈なインパクトと共に鮮烈なデビューを果たした、
冒険業からゲーム会社の社長としての活躍に舵を切った「メイド イン ワリオシリーズ」の初代作にあたります。
私にとっての不動のゲームヒーローであるワリオのゲームである事と、
非常に興味をそそられるテレビCMによって、気になってはいたものの、
そのビンビンに伝わってくる”イロモノ感”から、発売当時は自分で買うには至りませんでした。
ですが、中学二年生で同じクラスとなり、仲良くなった友人K君が所持していた事から、
彼と一緒に遊ぶ際に、よくプレイさせてもらっていたものです。
「ボタン一つで勝負が決まる、瞬間アクションゲーム」とテレビCMで述べられていた通り、
本作は、十字キー又はAボタンのみの操作(稀にその両方)による、
大体3~5秒程度で成否の判断が付く、ミニゲームならぬ”プチゲーム”が200種類以上収録されており、
残機がなくなるまでに、徐々に速度や難易度が上昇しつつランダムで出現するプチゲームを、どれだけ連続してクリアできるかを競う「ゲームモード」と、
一度出現させたプチゲームを、個別にプレイしてハイスコアを目指す「図鑑モード」の二つの遊びに大別されます。
「ゲームモード」では、ワリオの他にもゲーム制作の為に集まった数々の新キャラクター達が登場しており、
キャラクター毎にジャンルや多少のストーリー性が定められている他、
初回プレイ時に限ってクリアノルマが設定されており、最初は全キャラのモードをクリアしてエンディングを目指すという流れになりますが、
その後は、特定の条件を満たして”サブゲーム”を出現させたり、
各モードやゲームにてハイスコアを塗り替えるべく、半永久的に遊び込める内容となっています。
プチゲームの中には、通常よりも少しだけ長く、
各キャラクター毎に用意された”ボスゲーム”も存在し、
「ゲームモード」においては、初回ではこれに辿り着いて成功する事によってゲームクリアとなり、
二回目以降は、成功時に残機が1UPすると共に、プチゲームの難易度が一段階上昇(最大三段階)してプレイ続行がなされます。
単純にプチゲームを繰り返すだけでなく、
残機アップも兼ねた、このようなボスゲームが挟まれる事によって、本作のゲーム体験にメリハリを生んでおり、
確かな面白さと高い熱中度を感じながら、プレイに没頭する事が出来ます。
↑の画像は、最初のステージである「ワリカセ」のボスゲーム「パンチング・マシン」。
振り子運動のような動きをする鉄球を、ワリオがパンチでぶち割って大喜びするという内容で、単純ながらもシンプルな面白さと爽快感を誇る、
最初のボスゲームにして、本作の中でも特に印象に残るゲームとなっています。
また、難易度が上がり切る三度目のボスゲームクリア時までは、
↑の画像のように、キャラクター毎に異なる”ブレイクタイム”も用意されており、
本作独自の味付け部分となっている他、登場キャラ達の多少の掘り下げにもなっている気がします。
四度目のボスゲーム以降は、こうしたブレイクタイム演出は無くなり、
速度だけがどんどんと上昇していく形式になり、
人間としての反射速度と判断力、そして己の根気と集中力の限界に挑戦していく事となります。
以下からは、本作の象徴とも言えるボスゲーム群のみを抜粋しつつ、
その内容と面白さを語っていきます。
ジャンルを”スポーツ”とするキャラクター「ジミー」のボスゲームは、
細身で色白のボクサーが、自分よりも体格の良いマスクマン達に戦いを挑んで勝利するという内容の「ボクシング」。
相手の攻撃を左右でかわした後、Aボタンによってパンチを食らわすという挙動が単純ながらも気持ち良く、
KOする際には、相手が吹っ飛んでいく演出とゲーム成功の効果音、そしてゴングが「カンカーン」と鳴る音によって爽快感もあり、
本作の中でも、特に好きなミニゲームの一つに数えられます。
ジャンルを”SF”とするキャラクター「ドリブル」のボスゲームは、
極限までシンプル化しつつも、しっかりとパワーアップ要素もある縦シューティングの「ギャラクシー2003」。
三段階のフルパワーアップ後に再度パワーアップアイテムを取ると、画面内の敵を一掃する効果もあり、
こちらも上記の「ボクシング」同様、爽快感のあるボスゲームに仕上がっています。
ジャンルを”ヘンナノ”とするキャラクター「モナ」のボスゲームは、
カナヅチで釘を打つ作業をリズミカルにゲーム化した「クギうち」。
自動で左右に動くカナヅチをAボタンによって落下させ、どんどん釘を打っていくという内容なのですが、
多少ズレたところでAボタンを押してしまうと、その方向に釘が曲がってしまい、再度同じミスをすると釘が完全に折れ曲がってゲームオーバー。
又は、大きくズレたところでAボタンを押すと、釘を支えている人の手を打って腫らしてしまって一発ゲームオーバーとなる、単調ながらもスリル感のある内容ではありますが、
いかんせん地味な為、ボスゲームの中では影は薄め。
ジャンルを”ニンテンドー”とするキャラクター「ナインボルト」のボスゲームは、
トスバッティングマシンが放ってくるボールを、一定数打ち返す形式の「ウルトラマシン」。
バッティングを題材としたゲームが面白くない訳がなく、消える魔球を含めた緩急のついた投球を打ち返していく内容から、ボスゲームの中でも上位に入る面白さなのですが、
ナインボルトの場合、実在する任天堂ゲームを題材とした道中のプチゲーム群の方が色濃く印象に残る為、こちらの方は相対的に印象が薄かったりします。
ジャンルを”IQ”とするキャラクター「オービュロン」のボスゲームは、
3DダンジョンRPGにおける敵との戦闘をパロディにした「ダンジョン・クエスチョン」。
紛らわしい選択肢の中から、戦う為の文面のものを的確に選んで戦い、
とどめのシーンになったら、タイミング良くAボタンを押して「せいこう!」を選ぶ事で勝利となるという、
初見でのインパクトが非常に強いボスゲームでした。
ジャンルを”リアル”とするキャラクター「Dr.クライゴア」のボスゲームは、
目からビーム光線を放つ”顔だけヒーロー”を操作し、地球めがけて隕石を落とそうとしてくる謎の壺との戦いを繰り広げる「ちきゅうをまもれ!」。
そのゲーム名の通り、隕石の落下による地球滅亡を防ぐ為に戦うという、本作トップクラスの熱さを誇るボスゲームとなっており、
その難易度の高さから初見は苦手意識がありましたが、徐々に好きになっていきました。
失敗して隕石が地球へと到達すると、実際に地球が破壊されて跡形も無くなってしまう事から、自ずと攻略に力が入ります。
ジャンルを”イキモノ”とするキャラクター「カット」のボスゲームは、
自動でジャンプし続ける黄色い生物を操って雲を渡り、緑色のお風呂(?)まで導く「カエルジャンプ」。
ゲーム内容的には、半自動ジャンプアクションとして王道を行く感じなのですが、
他のボスゲームが個性的過ぎるので、印象としては相対的にどうしても薄れる感じ。
ジャンルを”ナンデモアリ”とする、「ワリオ」(彼のみ、最初の「ワリカセ」と最終面の計二つのステージを担当)のボスゲームは、
冒険の果てにボスを倒して宝を発見し、転がる落石から逃げ切るという内容の「ワリオのぼうけん」。
ナンデモアリというジャンル名の通り、
スケボーに乗った状態で様々な障害物を避ける横スクロールパートから始まり、
空中の縦スクロールパートを経て、ブーメランを武器に四角い生き物と戦うボス戦パート、
その後、突如として出現した落石から逃げる脱出パートに繋がる、
全てのボスゲームの中でも、最長かつてんこ盛りな内容となっていて、とにかくやり応えがあります。
図鑑モードにおける説明文「そうさは… たまには じぶんで かんがえろ!」が、
このボスゲームの特異性を一言で表していると言えます。
キャラクター毎のモードとしては以上となりますが、他にも
ジミー・ドリブル・モナ・ナインボルトのミニゲーム群をミックスした「リミックスNo.1」、
オービュロン・クライゴア・カットのミニゲーム群をミックスした「リミックスNo.2」、
全てのミニゲームが登場し、それぞれ初期速度・難易度と残機が異なる「おきらく」「スリリング」「げきむず」、
全てのボスミニゲームだけを順番に延々と挑戦していく「とことんボス」が存在し、
特定の条件達成によって、個別の”サブゲーム”も出現するので、
以下からは、それらについて述べていきます。
まずは、最初に出現するサブゲームでありながら、シンプルながらも安定した面白さを誇る、
縄跳びをどれだけ長く続けられるかに挑戦する「なわとび フォーエヴァー」。
最初の方こそ、Aボタンだけの操作で強弱のついた挙動の縄をジャンプして越えていくだけですが、
途中から縄を持った両サイドのキャラクターが移動し始めるので、それに合わせて左右に動きながらのジャンプを余儀なくされるという、オリジナリティの強い縄跳びゲームとなっています。
スコアが100を超えると、BGMを三種類の中から選べるようになるので、
飽きにくさも兼ね備えています。
次に、十字キー下のしゃがみとAボタンのジャンプで障害物をかわして走り続ける「スケボーよ えいえんに」と、
十字キー左右で進行方向と速度を調節して飛び続ける「はてしなく かみヒコーキ」。
どちらも、シンプルな操作性で障害物をかわし続けて到達地点を伸ばしていくゲーム性となっていて、
単純ながらもついついハマってしまう、ゲームとしての古典的な面白さを誇っています。
そして、「図鑑モード」のプチゲームを全て埋める事によって登場する「PYORO」。
ペンギンのような生物を操り、上空から次々と降ってくる豆を舌を伸ばして食べていくという内容で、
より高い場所で食べる事によって高得点となったり、
白い豆や光る豆を食べると、豆が落ちて消滅していた足場が復活する他、
得点を重ねていくにつれて背景が豪華になっていき、果てには画面全体がモノクロや白黒になる等、
ゲームスピードの加速も合わせて高揚感を誘う作りがなされており、本作を代表するサブゲームと言って差し支えない出来栄えとなっています。
(図鑑モードにて、全てのプチゲームで合格ラインを達成すると、
舌ではなく高速の空気弾によって、直線上の全ての豆を射抜く操作性へと差し替えられた「PYORO2」も登場します。)
また、私はあまりプレイしなかったのですが、
往年の任天堂ゲームを移植・リメイクしたサブゲームも収録されており、
↑の画像は、その中でも特に印象的だった「シェリフ」。
他には、ドクターマリオのキャラ差し替え版である「ドクターワリオ」、
SFCゲーム「マリオペイント」内に収録されていたもののアレンジ移植版であるらしい「ハエたたき」があります。
(更に、GBAのLボタンとRボタンを分担して操作するというアイデアによって実現した、
1カートリッジ&1本体による”VSゲーム”も四つ用意されています。)
・・・と、そんな感じで、
初代「メイド イン ワリオ」のゲーム内容について、要点だけに絞って紹介させて頂きました。
ありきたりなミニゲーム集で終わらせない為に、スピードアップと難易度上昇を含めたランダム形式にて連続でプレイしていくという、
瞬間的な判断力も問われる斬新なアイデアのゲーム性を見事に形にしており、確かな独自性と面白さを誇っている上、
その遊びの幅は非常に多岐に渡り、やり込みプレイの奥行き感も底無しである事から、
シリーズの原点にして頂点と言っても過言ではない仕上がりとなっている気さえする本作。
今となっては、それまでのワリオシリーズの本流であった横スクロールアクション系統の作品ではなく、
こちらの「メイド イン ワリオシリーズ」の方が”ワリオの代名詞”的な位置付けとなっている事は、
若干寂しくもありますが、万人へのアプローチと印象付けを考えたら、それも妥当な判断と結果であったと言わざるを得ないでしょう。
いまだにシリーズが存続している事から、名前だけは知っているものの、実際にプレイした事はないという方もいらっしゃるかと思いますが、
今からでも、その始まりとなった初代作に触れてみてはいかがでしょうか。
時代やプレイする人の垣根を越えた、
ゲームとしての根本的かつ古典的な面白さを、この作品は秘めているような気がしてなりません。
ちなみに、本作におけるバイカー風の格好がワリオのイメージとして定着した事からか、
Wiiの対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズX」に参戦を果たした際にも、
この衣装を身に纏って登場しています。
私は、その作品によって更に、心身共にワリオに傾倒して夢中になった事から、
その頃に丁度、近所のショッピングモールにて「メイド イン ワリオ」の新品が何故か980円で山積みされていたのを見つけて購入し、
「PYORO2」を出現させるまで、一から再度ハマり込んだという経緯があります。
~~私の心の中心・奥底に残り続けている「スマブラX」という作品、
そこでのワリオとの出来事や思い出も、
いずれは記事にする予定ですので、気長にお待ち頂ければ・・・と思います。