「熱血硬派くにおくん 番外乱闘編」小さな画面で所狭しと乱闘!友の仇を討つ、男のベルトスクロールアクション!!
小・中学生の頃に訪れる中古ゲーム屋さんというのは、
なんだか未知なる領域に満ちていて、夢が溢れて見えたものです。
小さい頃から知っているキャラクターのゲームで、まだプレイした事がない作品を、
自分のお小遣いで買って遊ぶのも、また一興でした。
そうして出会ったのが、”白黒ゲームボーイ”ソフトの「熱血硬派くにおくん 番外乱闘編」です。
買ったのは、確か中学二年に上がったばかりの頃ぐらいだったと思います。
その時だけ親交のあった、中国人留学生のO君と”ブックオフ”に出掛け、
何かしら中古のゲームを買ってみようと思って見て回っていたら、
↑の画像の、紫色の絵が貼られたカセットが「デーーン」と目に飛び込んできて、
「おっ、くにおくんや!!」と言って買いました。
価格は500円くらいでしたかね。
ファミコンの「はるかなる金メダル」が面白かった思い出がありましたし、
くにおくんがドドンと仁王立ちしているカセットの絵から、
これはもう「”隠れた(?)名作”に違いない!」という確信がありました。
ゲームを開始すると流れるオープニングデモでは、
色々と悪評高い「むなかたこうぎょう」の社長の一人息子「ゆうじ」が、
たまたま一目惚れした”熱血高校のマドンナ「みほこ」”を無理矢理連れて行こうとしていた所に、
「ひろし」という男が助けに入るという英雄譚が語られ始めます。
しかし、ひろしはその場でリンチされ、全治三ヶ月の重傷。
それを聞いた我らが「くにおくん」が、仇を討つ為に立ち上がるというわけです。
これ以上ないくらいに、非常にシンプルで男らしい導入ですね。
そして時代を感じさせます。
(難易度は「やさしい」「ふつう」「むずかしい」から選べますが、
「やさしい」だと途中で終わってしまいますし、「むずかしい」は敵の体力が増えてダルいだけなので、「ふつう」が丁度良いです。)
ゲーム性は、カプコンの「ファイナルファイト」シリーズが代表格となる、
奥行きある画面構成で、縦軸の移動も重要な”ベルトスクロールアクション”。
全10ステージ構成の道のりを、不良やヤクザを倒しながら、スタスタと歩いて進んで行きます。
私がこの作品にのめり込めたのは、この手のジャンルのものを、
ここに至って初めてまともにプレイしたという事情も大きかったと思います。
攻撃手段には、
・A×3で三連パンチ→ひるんだ所を密着で掴み→A×2で更に二連パンチ→Aで殴り飛ばし、Bで首掴み投げ
・Bで蹴り→更にBで蹴り飛ばし
という二種類の基本連繋があり、組み合わせによって威力が細かく異なるほか、
状況に応じてAでの連繋途中にBの蹴り飛ばしで素早く締める事もできたりと、なかなかにアドリブ性のある攻撃を繰り出す事ができます。
(掴み状態からすぐにBで、即座に首掴み投げも可能)
そして、↑の画像のように、大技として
・AB同時押しでしゃがみ→更にAかBでジャンプアッパー
もあり、道中の雑魚戦から多くのボス戦まで、幅広く活躍します。
ダウンした相手には、更に近くでボタンを押す事で、乗っかって追撃します。
(技名を”ニー・ドロップ(膝落とし)”と呼ぶらしいです)
相手の体力に合わせた連繋を食らわし、この乗っかり追撃で倒す事ができると、爽快感があります。
う~ん、バイオレンス!!!(意味不明)
ステージ1の最後には、ボスキャラである長身で顔色が悪いボクサーが登場。
私は最初、何も考えずに戦ったら、
その長いリーチと圧倒的破壊力を誇る右ストレートにギッタギッタに叩きのめされ、
何度かゲームオーバーになりました。
見てわかる通り、ボスキャラの方が体格が良い為に、当然のようにリーチで負けるので、
普通に横から行っても勝ち目はないのです。
縦軸の手前か奥のどちらかで上手く待ち構えて、相手が至近距離で水平に並んだところを
A×2→Bで蹴り上げ、もしくはAB同時押しのジャンプアッパーで吹っ飛ばし、
即座に乗っかり追撃を加えるというのが基本戦術となります。
(大半のボスキャラ達はガタイが良い為、掴む事はできません。)
ともかく、最初のこのボクサーとの戦いで、
このゲームにおけるセオリーを習得する事になります。
ステージ2~4は、地下鉄が舞台。
地下鉄に乗り込み、車内で乱闘しながら移動し、構外へ向かうという段階が、
それぞれステージになっています。
ボスキャラとしては、刃物や拳銃を持った物騒なおっさんが登場。
最初のボクサーと比べたら大したことないですが、それもそのハズ。
なんとゲーム後半では、普通に雑魚敵として出てくるようになるんだよね。
地下鉄を抜けると、マップ画面が表示され、くにおくんが
ザッザッザッザッザッザッ・・・と移動していく演出が挟まります。
この画面、マス目と到達地点が微妙に合ってないんだけど、
最初の一つは自宅って事なのだろうか。
そして中盤戦となる、商店街ステージ。
ここでの音楽が、なかなかに渋くてカッコイイ。
「テテレテーレテレ テレーテーレテレ テテレテーレテレ テレテレテレテレ↑・・・」
という、独特のメロディーが口ずさみたくなります。
ボスキャラとしては、木刀(と思っていたのですが、鉄パイプらしいです)をその手に構えた、
暴走族のヘッドのようなヤツが登場。
「グオッ!!」と勢いよく得物を振り回して攻撃してくるので、
セオリーに沿って縦軸の動きでかわし、ジャンプアッパーを食らわします。
このデカイ敵キャラを、景気よく「ポーン!」と何度も吹っ飛ばすのは、
なかなかに爽快です。
後半戦となるステージ6~8ですが、またもや地下鉄。
構成自体はステージ2~4とほぼ(まったく?)一緒ですが、
出てくる敵キャラが手強くなっています。
また、ステージ8の最後には、
なにやら怪しい笑みを浮かべた”むきむきまっちょまん”が登場。
おまわりさん、こいつです。
その見た目に反して、回避行動も機敏。
隙を少なくして立ち回り、確実にダメージを重ね、
こちらはその太い腕による攻撃を極力喰らわない事が重要です。
”まっちょまん”を倒すと、再度マップ画面が表示されて最後のマスへと到達し、
いよいよ「むなかたこうぎょう」がそびえ立つ、ステージ9の高級住宅街へ。
道中は屁でもないのですが、「むなかたこうぎょう」の入り口にて
待ち構えるボスの”おすもうさん”が強敵。
ダウンさせられると、その巨体を活かした乗っかり追撃をしてきます。
その威力は絶大で、こちらのそれとは比べ物になりません。
一撃で体力の半分ほどを奪われます。
ジャンプアッパーを連続し、可能ならばその悪夢のような攻撃は、
絶対にお目にかからないようにしたいところ。
おすもうさんを倒すと、ついに仇敵の「ゆうじ」がいる、
最終ステージ「むなかたこうぎょう」内部へ。
エレベーターに乗っての移動を二度ほど繰り返す長丁場で、
今までよりも一層、集中した慎重なプレイが求められます。
最上階手前では、ステージ1・5・8・9で登場した固有のボスキャラ達が再登場。
いわゆるボスラッシュ。
さっきの”おすもうさん”までもう一度出てくるんだけど、
あいつは門番みたいなポジションなんじゃなかったのか、というツッコミは野暮ですかね。
ボスラッシュを制して先へと進むと、最上階にて遂に「ゆうじ」と対面。
悪そうな顔してますねぇ~~。悪党の顔ですねぇ~~~。
少しの問答の後、最終決戦へ。
(オープニングの語りと同じBGMなのが熱い。)
まるで「因縁の対決」を思わせるような、”渋くて切ない音楽”と共に繰り広げられる、
孤独感と男のプライドを感じさせる、最後の戦い。
親の威を借る、単なるチャラ男と思いきや、「ゆうじ」の攻撃はなかなかに熾烈。
近距離では高威力アッパー、
遠距離では「グワッ!!」と踏み込んでの旋風脚を繰り出してきます。
しかし、ここまで来たならば、あくまで基本に忠実に戦うのみ。
冷静に相手の攻撃を見極め、ジャンプアッパーで何度も吹っ飛ばし、
乗っかり追撃を繰り返すのが有効です。
「ゆうじ」を倒すと、おそらく画面上では省略されたであろう教育の果てに、
怪我をさせた「ひろし」に詫びを入れさせるという、悲哀なエンディングに。
今回の悪役である「ゆうじ」には、しっかりと肉体的・精神的な報復をし、
結末では語られないものの、周囲の人々を苦しめていた「むなかたこうぎょう」の横暴ぶりも、
以前と比べて控え目になっていった事でしょう。
ですが、”復讐”・”仇討ち”を軸とした物語であるからか、エンディングの音楽は暗めで、
解決した感は漂ってはいるものの、どこか物悲しさも感じさせられます。
「憎しみは憎しみを生む」・・・ではないんだけど、ゆうじを痛めつけたところで、
ひろしはまだ入院中だし、彼の怪我が早く治るわけでもないしね。
でもまぁ、これはこれで味のあるエンディングですし、ゲームの雰囲気には合ってます。
~~さて、どうでしょう?
この作品、検索してレビューを漁ってみると、
どうにも「単調」だとか、他作品に比べて「もっさり」「必殺技が無いので爽快感に欠ける」とか「短い」とかで、あまり良い評価ではありません。
ですが、私は最初に述べた通り、
”ベルトスクロールアクション”を初めてまともに体験し、自力で攻略したのがこの作品だった事もあって、充分楽しめましたし、飽きるまでは何度も周回していた記憶があります。
音楽の質も高水準で、特にステージ1・5・9のものはテンションが高まり、一段と印象に残ります。
当時から、携帯型ゲーム機のソフトはイヤホンを付けたプレイで熱中する事を日課(?)にしていた私にとっては、本作も間違いなく良作です。
堂々と名作・・・とまでは言えませんが、少なくとも冒頭で述べていた、
”(私の中での)隠れた名作”の名を冠するには、充分に合格点を与えられる作品です。
2012年に、3DSにてバーチャルコンソールでも配信された事から、
本作が一定以上のクオリティと評価を保っている事は、証明されていると言えるでしょう。
シンプルな操作と、狭い画面上ながら、
敵をビシバシとやっつけて進んでいく手応えと爽快感はしっかりと味わえる、
”白黒ゲームボーイ”における、「くにおくん」の古き良き”良作ベルトスクロールアクション”です。